渋谷勝己(1999.10)文末詞「ケ」:三つの体系における対照研究
渋谷勝己(1999.10)「文末詞「ケ」:三つの体系における対照研究」『近代語研究10』武蔵野書院.
要点
- 文末詞ケについて、現代東京方言、山形市方言、江戸語の間で対照を行い、山形市方言の用法が広く、東京方言の用法が限定的であることを示す。
- 東京方言のケの特徴、
- 形式的に:動詞・形容詞はタ形に、名詞・形容動詞はル・タ形に接続する。
- 意味的に:「記憶の検索による思い出し」を表す。
- ムード的性格として:カラ節に入らないなど、真性モダリティ形式としての特徴を持つ。
- 山形市方言のケの特徴、
- 形式的に:動作動詞・変化動詞(Ⅰ)・居る系動詞(Ⅱ)はル・タ形に接続する。居る系を除いた状態用言(Ⅲ)はル系にしか接続しない(アッケ、白イケ)。
- 意味的に:
- Ⅰ・Ⅱの場合:「思い出し・報告」という準ムード的なカテゴリーを構成する。
- Ⅲの場合:テンス形式として「過去」を表す。
- ムード的性格として:ガラ節、一部連体節に入るなど、全体的に東京方言よりもコト的性格が強い。
- 江戸語のケの特徴、
- 形式的に:動詞・形容詞のタ形、形容動詞・名詞のル形に接続する
- 意味的に:「思い出し・報告」以外に「過去」を表すこともある。
- ムード的性格として:他の文末詞の下接、ガ節に入るなど、東京方言のケよりもコト的性格が強く、むしろ山形市方言に近い。
雑記
- 間に合わなくなってきた~