ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

菅原範夫(1989.12)栄花物語の口語的一側面:連体形・巳然形終止などから

菅原範夫(1989.12)「栄花物語の口語的一側面:連体形・巳然形終止などから」『高知大国文』20.

要点

  • 栄花物語には以下のような口語的(中世的)要素が認められる。
  • 地の文のハベリの使用:御おぼえも日頃におとりにけりとぞ聞こえし。
    • 筆録者が読者に対して用いたものと考えられる。
    • 地の文における終助詞の使用の例も、これに準じて存する。
  • コソのない已然形終止、連体形終止の多さ:
    • いみじう世に珍らかに侍めりしか
    • 中納言は出雲の方なれば、~戌亥ざまにおはする
    • 係り結びの形態的呼応がない例ももちろんある。
  • この他、
    • 終助詞以外の助詞や体言、連用形で終止する例
    • 下二段動詞「きむ(極)」の例
    • ムズの地の文の使用、助動詞タシ、など
  • 栄花の成立は続編の方が遅いが、「中世語的事象は成立の早い正篇に多く見られており、栄花物語全体に及ぶ特徴と考えられるのである。」

雑記

  • おっさんなのでこれ聞きながら通勤してる

www.youtube.com