ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

篠崎久躬(1996.10)江戸時代末期長崎地方の文末助詞「ばい」と「たい」

篠崎久躬(1996.10)「江戸時代末期長崎地方の文末助詞「ばい」と「たい」」『長崎談叢』85.

(篠崎久躬(1997.5)「文末助詞:「ばい」と「たい」」『長崎方言の歴史的研究:江戸時代の長崎語』長崎文献社 による)

要点

  • 当期の長崎方言資料には、バイ・タイについて以下の例が認められる。
  • バイ類については、(バヲ・)バイ・バンが江戸時代の初期・中期に、末期にバ・バナが見られる。
    • バヲ:Mairubauo, Caitabauo(ロドリゲス大文典)
    • バイ:あまたちの じゆつたんぼうで どんくとる あらよそわしか おんだいやばい(森川許六の歌)
    • バ・バアは単独で使用されることがなく、ヤウ・ノなどと複合する。
      • バヘが一例のみ『幡多方言』付録の「肥前長崎ことば」に見えるが、使用されていたかは確実ではない。
  • タイ類は成立も遅れ、江戸時代末期にようやくタイ・タン・タナ・テなどが現れる。
    • タイ:コリヤよかたい(東海道中膝栗毛
    • タンは博多小女郎波枕以後は方言史資料には現れず(頻度は少ないが使用はされていたか)、
    • タナ・テも例がある。

雑記

  • イン・ザ・ムードの最後、めちゃダサいと思う