白田理人(2022.8)北琉球奄美喜界島北部方言の確認要求表現:視覚動詞命令形由来の形式を中心に
白田理人(2022.8)「北琉球奄美喜界島北部方言の確認要求表現:視覚動詞命令形由来の形式を中心に」『西日本国語国文学』9.
要点
- 喜界島に見られる以下の確認要求・同意要求表現(三宅2017)のうち、 小野津方言の -sumïː と 志戸桶方言の =miri について記述する。
- -sumïː は屈折接辞(mi-ju-sumïː)、 =miri は文末助詞(suN=miri)
- -sumïː は、「当該の知識を聞き手が有していることの確認を要求する、知識確認の要求」に用いられる。
- =miri は、知識確認要求に加え、同意要求の用法も持つ。
- これらの形式の成立過程については、「~の(を)見ろ」に相当する、「準体形+視覚動詞命令形の」構造から生じたものと考える。
- まず、 mïː / miri の部分については、
- miri はラ行五段化した * mire が、 規則的に e>i となったもの。
- mïː も同様、 * mire が弱化・脱落したもの(* mire > * miri > mïː)。
- -sumïː の -su は準体接辞である。小野津方言の -su には以下の2つの用法があり、どちらも -sumïː と統語的共通性を持つ。
- ノダ文:udujuta-su dʑa=jaː.(踊っていたんだね)
- 所有物:waː-su miː=joː!(私のを見てよ!)
- これは、「見ろ」の「視覚によって知覚し、認識することを要求する」という意味のうち、「視覚による知覚」の意味が希薄化したものと見る。
- まず、 mïː / miri の部分については、
雑記
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