釘貫亨(1999.7)「完了辞リ、タリと断定辞ナリの成立」『万葉』170.
要点
- 「どのような文法的条件によってテアリからタリが、ニアリから断定ナリが、また動詞+アリからリを生起したのか」について考える。
- タリ・テアリについては、以下の特徴が認められる。
- タリは連体修飾が多く、テアリには少ない。
- 言い切りの形はタリに多く、テアリには少ない。
- リについても同様の分布の偏りが指摘できる。
- アリそのものを見ると、連体修飾や言い切りの例は、やはり少ない。
- 「わずかに残された連体修飾のアルの例は、あたかもこれらの環境からナリやタリが生まれ出て行ったあとに残された潮溜まりのように見え」*1、ナリ・ニアリもやはり同様の偏りを見せる。
- これは、連体修飾という環境において、縮約が強制的に起こったために、アリの連体修飾の例が少ないという形で、「機能の空白域を生じた」ものと考えられる。
- この共通する経緯から見て、リ・タリ・ナリは奈良時代以前の近接する時期に成立した可能性が高い。
雑記
- ていうかショーンKのとき、ショーンKって誰だよってなったよね
*1:すげえ表現