ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

高山善行(1997)否定推量の諸相

高山善行(1997)「否定推量の諸相」『大手前女子大学論集』31.

要点

  • ジ・マジがある中で、ザラムが必要とされた理由と、ザラム・ザルラムとの関係について考えたい。
    • 小松(1961)に「ザラムがジの文中用法の欠如を補完している」という指摘がある。
  • ザラムについて、
    • 文末用法は、
      • 終止形終止がなく、
      • 不定語と共起する場合は反語の意、
      • 係助詞の結びは少ない。
    • 文中用法は、
      • 「…ザラムモ…形容詞ベシ」という構文が多く、
      • 連体用法の下接名詞は形式名詞、接続用法はモノカラ・モノユヱが目立つ。
    • 意味的には〈妥当性〉〈未実現性〉を表す。
  • ザラム・ザルラムは以下の差異を持ち、ザルラムは構文的にも文体的にも不自由な形式であったと言える。

p.57

  • ザラム・ジ・マジを見ると、
    • ザラム・マジが文中用法に、ジは文末用法に偏る。
    • マジの文中用法は様態性に偏るが、ザラムは仮想性に傾き、意味レベルの対立がある。
      p.58

雑記

  • 学会でブログのこと聞くのやめなさい