ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

林禔映(2021.12)近世資料の文体差による叙法副詞の使用実態:「サスガ(ニ・ハ)」を例にして

林禔映(2021.12)「近世資料の文体差による叙法副詞の使用実態:「サスガ(ニ・ハ)」を例にして」『日本語教育(韓国日本語教育学会)』98.

要点

  • 近世の副詞研究で手薄である文体的特徴に注目し、サスガニ・サスガハの文体差(ここでいう文体は、文末辞を基準とした文語体・口語体)による使用実態を考える。
    • 従来、渡辺(1997)により、サスガニが早く、サスガ(ハ)が遅いことが知られる。
  • 近世期には、
    • 中世に引き続き、助詞のないサスガが最も多く、
    • サスガニは、随筆・紀行・評論・読本など、文語体を基調とする資料に多い。
  • 文体別に例を見ると、
    • 近世前期には、サスガニは文語にのみ見られるのに対し、サスガ・サスガハが世話浄瑠璃に見える。
  • サスガハは近世を通して口語に使われる比率が高く、後期になると文語・口語に同等に使われる。一方、サスガニ・サスガは全体的に文語に使われる割合が高い。

p.247

雑記

  • いつまでもこういうやつでいい

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