林禔映(2017.5)「副詞「所詮」の史的変遷」『日語日文學研究』101(1).
要点
- 所詮が否定的意味を持つこと、「詮ずるところ」と訓読される例に注目しつつ、その歴史について考える。
- 史的変遷、
- 原義は仏教語の「大乗の経典によって表されること」であり、中古以前の漢文資料の例もこの意味のみ。
- 中世の古記録・古文書では、「結局、つまり」の意(せんずるところ)で用いられ、中世後期には否定的意味の読み取れる例が見られ始め、
- 所詮、問答は無益ぢや。何であらうともままよ(エソポ)
- 近世には否定の例に偏っていく。
- この否定的意味への偏り(変化)は、漢語「詮」が、和語の「~無し」に倣って「詮無し」「所詮無し」の語法を生むことで、音読の「所詮」に否定的な意味を加えたことによるものと考える。
雑記
- 「国立大学名誉教授」ってそんな忖度され得るポジションか?