矢島正浩(2002.3)疑問詞疑問文文末ゾの使用よりみた近松世話浄瑠璃
矢島正浩(2002.3)「疑問詞疑問文文末ゾの使用よりみた近松世話浄瑠璃」『日本近代語研究3』ひつじ書房.
要点
- 用言述語・体言述語の差異について、近松世話物は体言述語の方がゾの脱落率が低い。
- 外山(1957)は体言述語の場合にゾが脱落しやすいものと見て、矢島(1997)では、狂言では述語の性質によるゾの脱落には差がないものと見た。
- 平叙文も含めて、他資料との比較を行うと、
- 概ね、文語性の強い謡曲・幸若舞・古浄瑠璃・仮名草子・浮世草子ではゾの脱落率が低く、咄本では高め、浄瑠璃・歌舞伎台帳では最も脱落が多い。
- ほとんどの資料でVゾよりNゾの方がゾの維持傾向が強い中で、
- 平叙文でNナリが高いほど、疑問文でのNゾの脱落率が低い。
- 近松世話浄瑠璃は歌舞伎台帳・狂言に比して、Nゾのゾの維持傾向が強く、ナリの使用率も高い。この点で、単純に口語性が強いとは言い難い。
- 体言述語でコピュラを用いない例(誰に遠慮/是が何に成こと)を取る点も、浄瑠璃特有の傾向である(ジャを避ける傾向とも言える)。
- 平叙文ではNゾが中世末期には衰退期にあったとされるが、近松世話物ではNゾを取る例が多い。
- 上のNゾの多用は、体言述語の場合、ゾを用いない場合には基本的にはジャを用いる必要があるが、ゾ・ジャは表現価値に差異があるために(ゾは配慮があり、ジャは直接的)、その書き分けのためにゾの脱落が一定数抑制されたものと解釈される。
雑記
- ゲート・ガーディアンが強化されるのアツすぎ