樋渡登(2005.6)「洞門抄物から見た疑問詞疑問文について」『日本近代語研究4』ひつじ書房(『洞門抄物による近世語の研究』おうふう を参照).
要点
- 外山(1957)、矢島(1997, 2002)を踏まえつつ、洞門抄物の疑問詞疑問文について検討する。
- ① 体言性述部の場合、Wh…Nゾ・ダゾはほぼ守られている。
- ② 用言性述部の場合、
- ゾが脱落するのは存在動詞(Wh…アル)や敬体の場合が多い。
- また、ウズの場合もカを取る例が目立つ。
- ③ これ以外に、文末助詞ナ(虎明本、「何と付けたな。」)の使用が見られる。
- ①は、外山の指摘とは一致しない。
- ②は、従来の研究と同様の結論で、洞門抄物は室町末期の狂言台本よりも、近世に先んじた状況といえる
- 洞門抄物は「同時代の他のいわゆる関西系資料と大きな隔たりを持っているわけではないが、その独自の形態も有しており、今後洞門抄物類の国語史資料としての位置付けに有用である」
雑記
- 定価4万+税て
- 樋渡(2007)が結構安くなってる 3年前に1万円で買った記録がある