ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

徳永辰通(2010.1)「~ヤ-連体形」から終助詞カへの交替:天草版『平家物語』に見る交替の諸相

徳永辰通(2010.1)「「~ヤ-連体形」から終助詞カへの交替:天草版『平家物語』に見る交替の諸相」『人文学部研究論集(中部大学)』23.

要点

  • 原拠本の~ヤ―連体形の天草版への置き換えについて。
  • まず、対応関係については、ヤで訳される例より、―カ。に置き換えられる例の方が多い。
  • 天草版のヤは原テクストから受け継ぐものがほとんどで、以下のように整理され、

p.32

  • カに置き換えられる場合の対応関係は以下の通り。

p.38

  • この比較によれば、天草版のヤの接続する範囲は(ヘ・Vテなどにおいて)狭まっていると考えられる。*1
  • 基本的には「格成分+ヤ」は「格成分―カ」として取り入れられるのが一般的であるが、存在詞疑問文(事態生起疑問文・存在疑問文)の場合は、この対応関係から漏れる(以下の例は、打消が追加されている)例がある。
    • 是に都より流され給ひし丹波少将殿,平判官入道殿やおはする(高野本)
    • ここもとに都から流されさせられた丹波の少将殿や,俊寛御坊,また康頼などはござらぬか(天草版)
      • 「対応の在り方が多様であるということは,「~ヤ―連体形」から終助詞カへの交替が,事態生起疑問文と存在疑問文の存在詞疑問文において単純ではなかったということである。」(p.42)*2

雑記

  • 週末休めないと平日の体力無理な感じになるな 休んでても無理ですけど

*1:でもその直後に、「3章で見てきたが,天草版でヤは広い成分に接続していた」って言ってる どっちかにしてほしい

*2:ということは、どういうことなんだぜ