劉玲(2003.2)「情態副詞「セイセイト(清々ト)」の発生 抄物における「X字(原漢文)⇒XXト・ニ(抄文)」という表現法を通じて」『日本語と日本文学』36.
要点
- 抄物に見られるセイセイトは、中国語の「清々」とは意味が異なり、漢語出自とは認められ難い。
- 今日ハ大酒ヲ飲ダガ、夕方汀へ出テ漱タレバ、心ガ清々トシタ。(杜詩抄)
- その理由、
- 抄物では「心のさま」(心がさっぱり)、「物のさま」(物が清らか)の例があり、
- 中国文献には「物のさま」(特に自然)の例はあるが、抄物で「心のさま」が早いことを説明できず、しかも、中国の「清々」が「涼しさ・冷たさ」を伴うのに対して、抄物のセイセイトが「清らかさ・清々しさ」を伴う点でことなりがある。
- 対案として、抄物のセイセイトに原漢文の「清」「浄」字に対応する例があることに基づいて、「X字(原漢文)⇒XXト・ニ(抄文)」という方法で、原漢文を抄文に組み込む表現法があったのでは、と考える。
- 軽(X)打之 軽々ト(XXト)撃ソ(漢書列伝竺桃抄)
雑記
- 予稿集にパスワードついてるの、後々参照したいときにあんまり嬉しくない(即解除)