ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

中野伸彦(1993.2)江戸語の疑問表現に関する一つの問題:終助詞「な」「ね」が下接する場合の自問系の疑問文の形成

中野伸彦(1993.2)「江戸語の疑問表現に関する一つの問題:終助詞「な」「ね」が下接する場合の自問系の疑問文の形成」『近代語研究9』武蔵野書院

要点

  • 現代語における自問系の疑問文には、カ・カシラ・ウ・ケなどがないとナ・ネを用いることができない(例えば、「誰だね」とすると他問になってしまう)という制約がある。
  • 一方江戸語では、自問系の疑問文に、ナ・ネが直接つく例がある。*1
    • あなたは。どなた様で御座りましたね(遊子方言、「ござりました{っけ/か}ね」などとありたい)
    • ヲヤ、金さん、なにか流れて来たヨ。油紙に包であるが、なんだねへ。(春色袖之梅、「なんだろうねえ」などとありたい)
    • なぜ、喜次さんは、呼んで呉れねへのだなア(七偏人)
  • ただし、カ・カシラ・ウ・ケを持つものも勿論あり、こちらの方が量的には多い。
  • 「江戸語においては、自問系の疑問文と他問の疑問文との形式上の区別が、現代語ほど、はっきりとはしていなかった訳である」(p.294)*2

雑記

  • こういう、うわ、それあるわ~~みたいなやつ書きたい

*1:た、たしかにある~~~

*2:もうちょっとなんか踏み込んで言えないかな~、考えよう