ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

中野伸彦(1996.12)Ⅲ型の確認要求の平叙文と終助詞「ね」:江戸語と現代語

中野伸彦(1996.12)「Ⅲ型の確認要求の平叙文と終助詞「ね」:江戸語と現代語」『山口大学教育学部研究論叢 第一部 人文科学・社会科学』46.

要点

  • 「叙述内容を聞き手に対して獲得させようとするタイプ」(僕の勝手でしょ)のⅢ型の確認要求の平叙文について考える。(Ⅰ・Ⅱ型については前記事参照)
  • このⅢ型は現代語においては、
    • 「一応聞き手が獲得済みの事柄であるが、より確かに認識させるべくのことを獲得させようとする場合」*1には、ダロウなしでネが下接することがあり得る。
      • 「明日は行くよ」(略)「明日ね」
    • ダロウがある場合には、ネが下接することはない。
      • 「跳躍って何だ?」「ほら、ぴょんぴょん跳ぶやつがあるだろう{よ/*ね}」
  • 一方で江戸語の場合、Ⅲ型でもダロウネの例がある。
    • 走る姿を見れば…作者曰 モシ好風なこしらへでございませうネ(春告鳥)

雑記

*1:タイプ分けした方が分かりやすい?