ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

Kees Hengeveld, 2017. A hierarchical approach to grammaticalization

Kees Hengeveld, 2017. A hierarchical approach to grammaticalization. In Kees Hengeveld, Heiko Narrog, Hella Olbertz (eds.), The Grammaticalization of Tense, Aspect, Modality and Evidentiality: A Functional Perspective, 13-38.

要点

  • Functional Discourse Grammar (FDG) の枠組みを用いて、文法化の過程を描きたい
  • 文法化は内容語と形式的な変化の組み合わせであるが、この2つが連帯すると考える必要はない(組み合わせには制約はあるものの)
  • 内容語の変化は常にスコープの拡張を伴うが、そのスコープは、FDGの枠組みで階層を設定することができる(Fig.1)

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fig.1

  • 形式の変化は、形式の特定のカテゴリによって定義されるのではなく、文法化した要素の挙動の分布によって定義される
  • このように、形式の変化は形態論的なタイプとは独立に定義づけることができる
  • 以上より、内容語の変化と形式の変化は独立したプロセスである
    • ただし、内容語の変化において階層が上位になる場合、形式の階層は下位には動かず、
    • その逆も同様である

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fig.2

雑記

  • めちゃんこ面白い論文きた