ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

2019-08-01から1ヶ月間の記事一覧

山田巌・木村晟(1976.2)『本則抄』について

山田巌・木村晟(1976.2)「『本則抄』について」『駒沢国文』13 要点 駒沢大本『本則抄』の言語的特徴について 本則抄 禅林類聚からの抽出・加注の東国抄物 講述者は「春夕」、「春積」とあり、 位作山陽林寺二世の盛南舜奭(-1541)か、 梅龍山東竹院四世…

小田勝(1991.6)成分モダリティ:中古和文における特殊な句

小田勝(1991.6)「成分モダリティ:中古和文における特殊な句」『国学院雑誌』92(6) 要点 以下がいわゆる「はさみこみ」と異なる、特殊な句であることを示す 白き衣の萎えたると見ゆる着て、掻練の張綿なるべし、腰よりしもに引きかけて、側みてあれば、顔…

小川志乃(2003.3)テヨリとテカラの意味的相違に関する史的研究

小川志乃(2003.3)「テヨリとテカラの意味的相違に関する史的研究」『国語国文学研究(熊本大学)』38 要点 天草平家と原拠本平家において、ヨリ→カラの交替は顕著だが、テヨリはテカラと対応しない テヨリとテカラには意味差があり、それが交替を許容しな…

清水真澄(2014.2)『万葉集』における接続表現:「なへ(に)」の機能と意味関係

清水真澄(2014.2)「『万葉集』における接続表現:「なへ(に)」の機能と意味関係」『中央大学大学院 大学院研究年報 文学研究科篇』43 要点 上代のナヘ(ニ)は、同時並行を表すものではなく、継時的な関係性を表現者の中で関連付ける表現であり、 前件の…

竹内史郎(2008.3)助詞シの格助詞性について:非動作格性と品詞分類

竹内史郎(2008.3)「助詞シの格助詞性について:非動作格性と品詞分類」『語学と文学(群馬大学)』44 竹内(2008)の続き、助詞シの振る舞いについて、同じように活格性の下で理解できることを主張する 上代のシと中古のシ 特に体言シ、シ+係助詞の、名詞…

佐佐木隆(2007.3)続紀宣命と『万葉集』に見える助詞「し」

佐佐木隆(2007.3)「続紀宣命と『万葉集』に見える助詞「し」」『学習院大学文学部研究年報』53 要点 助詞シの用法を万葉集と続紀宣命とで比較したとき、 万葉集の用法が広いだけでなく、続紀宣命独自の用法も見出される 前提 散文と韻文の構文上の差異を知…