2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧
山口佳也(2003.3)「「連体なり」の文について:「源氏物語」の用例をもとに」『十文字国文』9. 要点 源氏の連体ナリ文は、著者がノダ文において主張した、以下の4つのタイプに分類可能である p.2 源氏の例、 Ⅰ:例ならず下り立ちありき給ふは、疎かには思…
鈴木薫(2020.2)「中古中世における「むとす」と「むず」」『国語研究(国学院大学)』83. 要点 以下の分類を用意し、ムトスとムズの用法差を記述する 以下、①⑤は現代語のヨウトスルにはなく、ムトス・ムズには存する 意志的 ①自身の意向(文末):(自身が…
山田昌裕(2022.3)「格助詞「ガ」の用法拡大の様相:17世紀から明治大正にかけて」『論究日本近代語第2集』勉誠出版. 要点 17C以降、格助詞ガの上接語が名詞句以外に拡張することを主張する 17C以降に、テ節・引用句を、 ひえてしとをしてがよからふ(醒睡…
八坂尚美(2022.3)「『虎明本狂言』と『狂言六義』における行為要求表現の対照」『論究日本近代語第2集』勉誠出版. 要点 虎明本と天理本(狂言六義)に現れる行為要求表現について、対応する箇所を持つ例を、直接的か(命令形)間接的か(疑問、引用…)によ…
高山善行(1999)「連体ナリの已然形」『国語語彙史の研究18』和泉書院. 要点 中古の連体ナリには、連体ナレド・ナレバとしての、已然形として積極的に認められる例が(ほぼ)ない ナレバには、連体ナリと確定できる例がなく、同形ナリ(終止ナリと区別のつ…
小林賢次(1987)「『大蔵虎寛本能狂言』における衍字・脱字の校訂について」『近代語研究7』武蔵野書院. 要点 笹野堅校訂『大蔵虎寛本 能狂言』には、「衍字や脱字を想定しなくてもよさそうなもの」や、「原文の形を尊重すべきだと思われる例も混じっている…
西尾純二(2002)「秋田県鳥海町方言の推量表現形式「ガロ」と関連形式の用法」『消滅に瀕した方言語法の緊急調査研究(2)』 要点 推量形式ガロと周辺形式について、 現在の肯定・否定の推量には多くがガロ、過去推量にはタロ・ダロが回答される 形容動詞を…
野呂健一(2013.3)「「~わ~わ」構文の分析」『日本語文法』13(1). 要点 並列述語構文「~わ~わ」に以下の2種類を認めるとき、 V1わV2わ:雨には降られるわ、デートに遅刻するわ、… VわVわ:雨が降るわ降るわ 「V1わV2わ」は以下ような特徴を持ち(「交差…
矢島正浩(1996.3)「「疑問表現+しらぬ」の表現:近世前・中期の狂言台本を資料として」『国語学研究』35. 要点 近世前・中期の狂言台本に見られる「疑問表現+しらぬ」について、以下3点を主張 ① 形式としては、内容的疑問(Wh疑問)の場合に、ゾを伴う→…
吉井健(2017.11)「「白妙の袖さへ濡れて朝菜摘みてむ」:万葉集のテ形による副詞句」『万葉集研究37』塙書房 要点 古代語で付帯状況を表すテ形節(論文では「テ系句」)に、主体の異なる例があること(袖さへ濡れて朝菜摘みてむ)に注目し、テ形節の様相に…
大川孔明(2022.3)「叙述類型から見た平安鎌倉時代の文学作品の文体類型」『国語学研究』61. 要点 述語形式を基準として、クラスター分析を用いて、平安鎌倉時代の文学作品に以下の文体類型を得た A:事象叙述型 B:準事象叙述型 C:属性叙述型 D:主観叙述…
大川孔明(2020.9)「叙述語から見た平安鎌倉時代の文学作品の文体類型」『計量国語学』32(6). 要点 叙述語(副詞・形状詞・形容詞)を指標とした多変量解析により、平安鎌倉時代の文学作品に、以下の文体類型を得た*1 A 物語日記-和文体型 B 物語日記-漢文…
大川孔明(2020.8)「文連接法から見た平安鎌倉時代の文学作品の文体類型」『日本語の研究』16(2). 要点 文連接法(接続詞、指示詞、接続助詞、無形式)を指標としたクラスター分析により、平安鎌倉時代の文学作品に以下の文体類型の位置付けができることを…
小木曽智信(2010.10)「明治大正期における補助動詞「去る」について」『近代語研究15』武蔵野書院. 要点 明治期には以下のようなアスペクト的な「V去る」があり、 まだ自己が天理の中に融合し去らない点があり、道を外に求むるためである。(太陽1909-01)…
矢毛達之(1999.12)「中世前期における「文相当句+ナレバ・ナレド(モ)」形式」『語文研究』88. 要点 中世前期特有の語法に、「文相当句+ナレバ・ナレドモ」があり、 この盃をば先少将にとらせたけれども、親より先にはよものみ給はじなれば、重盛まつ取…
中村真衣佳(2022.1)「コピュラの定義からみる日本語の断定の助動詞」『研究論集(北海道大学)』21. 要点 以下のコピュラの(純粋な)定義に基づくと、デアル・ダ・デスはコピュラの機能が希薄で、古代語のナリはコピュラの定義に近い 主語と(動詞以外の…
村中淑子(2015.3)「明治小説にみる京都方言:清水紫琴「心の鬼」(明治30年)を資料として」『現象と秩序』2. 要点 清水紫琴(1868-1933)による関西方言小説「心の鬼」(文芸倶楽部3(2)、M30)が、明治期の京都方言資料として有用であることを示す 待遇表…
久保薗愛(2022.1)「鹿児島方言史における準体助詞の発達」『中部日本・日本語学研究論集』和泉書院. 要点 鹿児島方言の準体助詞トの発達について、以下の5点を主張する 18C初頭(ロシア資料)にトは見られるが、コト準体、~ニの環境ではゼロ準体も見受け…
村上謙(2010.10)「明治大正期関西弁資料としての上司小剣作品群の紹介および否定表現形式を用いた資料性の検討」『近代語研究15』 武蔵野書院. 要点 上司小剣(1874-1948)の『鱧の皮』などの関西弁小説が、落語SPレコードと同様、近代関西弁資料として有…
金銀珠(2022.1)「主格助詞「が」の拡大と準体法の衰退」『中部日本・日本語学論集』和泉書院. 要点 連体形+ガが、主格のNガの確立の際に与えた影響について、以下4点を主張する NガにおけるNは、古代語では指示対象が明確であるが(金2016, 2019)、中世…
金銀珠(2020.11)「主格助詞「が」が係る述語の拡大:上代から中世までを対象に」『名古屋大学国語国文学』113. 要点 ガの係る述語は、中古では活動的な動詞が9割程度を占める(金2016)が、その後、状態性の高い方へと拡張する 述語の品詞は、活動動詞→非…
金銀珠(2019.11)「上代日本語の助詞「が」の機能について」『Trans/Actions』4. 要点 上代語で主語を表すガが、「ある対象を指示し、事柄把握の中心に置く」指示機能を持つことを主張する 調査と分析 上代のガを以下の4種類に分類すると、 A 人称代名詞・…
Kanako KOMIYA, Aya TANABE, Hiroyuki SHINNOU. 2022.7. Diachronic Domain Adaptation of Word Sense Disambiguation in Corpus of Historical Japanese Using Word Embeddings. NINJAL Research Papers. 23. 古宮嘉那子・田邊絢・新納浩幸(2022.7)「分散…
金銀珠(2016.10)「中古語の名詞修飾節における主語の表示:無助詞と「の」と「が」の相互関係」『日本語の研究』12(4). 要点 中古語の名詞節における主語の表示(髪{ノ・ガ・∅}長き女)は、「構造の大きさ」と「指示」という2つの指標で条件付けられ、各…
室井努(2006.1)「今昔物語集の人数表現について:数量詞転移の文体差と用法および数量詞遊離構文に関して」『日本語の研究』2(1). 要点 今昔の数量詞転移・数量詞遊離について、以下の2点を明らかにする A 数詞単独:三人共ニ一家ニ住シテ世ヲ過ス。(10-2…
権景愛(1999)「上代日本語における母音脱落:音数律との関連に着目して」『国語学』197. 要点 上代における母音脱落について、以下の2点を示す 韻文の母音脱落は、特に付属語の場合に「連母音の回避」から説明できない例がある ニアリ・ナリは、宣命では非…
辻本桜介(2022.4)「中古語の状態性述語を持つ引用構文について」『文学・語学』234. 要点 状態性述語をとる引用構文の文法論的位置付けを検討する 杉の御社は、しるしやあらむとをかし。(枕227) 吉田(2017)は体験話法であることに重点を置いたもので、…
吉田光浩(2017.6)「中古の引用句を導く感情形容詞述語文と体験話法:『源氏物語』の例を中心に」『文学・語学』219. 要点 中古和文の形容詞述語文に散見される、「心中詞を形容詞が承けて文を終止する例」について検討する 女君、〈いかに聞くらむ〉とはず…
吉田光浩(1996.3)「「仮定条件句+うれし」の表現性について」『大妻国文』27. 要点 中古和文の「仮定条件句+うれし」に、下例(うつほ)の後者のように、「聞き手に一定のリアクションを求めるはたらきかけ」の機能を持つものがあることを述べる いたはら…
近藤要司(2022.3)「「活用語カナ」型詠嘆表現の衰退について」『神戸親和女子大学言語文化研究』16. 要点 活用語+終助詞カナ(活用語カナ)の衰退の要因を以下の点に求める 中古のカナは上代の「~も~かな」を引き継ぎ、話者の内面の情動そのものを述べ…