ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

鶴橋俊宏(2018.11)滑稽本におけるノダとその周辺

鶴橋俊宏(2018.11)「滑稽本におけるノダとその周辺」『国学院雑誌』119(11).

要点

  • 滑稽本を化政・天保期の共時態として、ノダ周辺形式について調査する。
  • ノダの用法は以下のように(便宜的に)設定でき、現代語のノダと同様であったと言える。
    • 平叙文
      • 条件句を含まない
        • 状況との因果関係をもつもの:「説明」
        • 状況との因果関係をたないもの:「断定」 「命令」
      • 条件句を含む:「条件」…てめへたちは云て聞せるからいふのだア(浮世風呂2下)
    • 疑問文:「不定」/「ナゼ」
  • 長崎(1998)にも指摘がある通り、ノサも例があるが、断定は見出だせるものの、説明の例がなく、「ノサが題説構文に還元できるか否かはなお検討の余地がある」。ただし、「条件」(理由句を含むもの)の例はある。
  • 準体助詞のない「活用語ダ」は、(土屋によればノダに置き換え可能だが、)題説構文を構成する例はなく、ノダと等価とは言い難い。
  • 江戸語のノダロウは名詞句→原因理由の推量→ナゼ疑問文という順に発達するが、ナゼを伴う例は、江戸期ではダロウ・ノダロウが併存する。一方、ナゼ~ノダはあるのに対してナゼ~∅ダの例はない。このナゼ~ダロウの問題は、「疑問語疑問文がノを取るか否かの問題」ではなく、ダロウの側の問題として考えるのが妥当である。

雑記

  • ゼルダの嘘古文みたいなやつ、ゲーム体験として萎えるから監修つけて(もしくはさせて)ほしい
  • そういうのでいうと大神がワーストで、終始ノレなかったな