ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

2019-06-01から1ヶ月間の記事一覧

北原保雄・大倉浩(1997)言語資料としての『外五十番』

北原保雄・大倉浩(1997)「言語資料としての『外五十番』」『狂言記外五十番の研究』勉誠社 前提として第2章「所収曲について」 外五十番は複数台本に依拠している 一部は虎明本に近く、古態を示すが、 一部は和泉流三宅家の三百番集本に近い、新しい面も見…

北原保雄・大倉浩(1997)『狂言記外五十番』について

北原保雄・大倉浩(1997)「『狂言記外五十番』について」『狂言記外五十番の研究』勉誠社*1 要点 狂言記他3種と性格の異なる外五十番と、他3種の関係について 狂言記の刊行と性格 以下の順に刊行されている p.540 特筆すべきこととして、 外五十番と続狂言…

北原保雄・吉見孝夫(1987)言語資料としての『狂言記拾遺』

北原保雄・吉見孝夫(1987)「言語資料としての『狂言記拾遺』」『狂言記拾遺の研究』勉誠社 要点 狂言記拾遺(1730刊)の言語的特徴と狂言記内での位置付けについて 注意点と流派的な位置付け まず、狂言記が読み物として刊行されたことに留意すべき 「これ…

北原保雄・小林賢次(1985)言語資料としての『続狂言記』(条件表現の節)

北原保雄・小林賢次(1985)「言語資料としての『続狂言記』」『続狂言記の研究』勉誠社 の、昨日の続き 仮定表現 この頃の順接仮定条件表現の重要な点3つ 1 未然形+ばの衰退 2 ならば・たらばの発達 3 仮定の「已然形+ば」の発達 1 未然形+ばの衰退につ…

北原保雄・小林賢次(1985)言語資料としての『続狂言記』

北原保雄・小林賢次(1985)「言語資料としての『続狂言記』」『続狂言記の研究』勉誠社*1 要点 『続狂言記』(1700刊)の言語的特徴について 四つ仮名・開合 正篇同様乱れているが、ただ乱れているのではなく、一定の表記意識のもとにある 正篇で「ぢや」と…

北原保雄・大倉浩(1983)言語資料としての『狂言記正篇』

北原保雄・大倉浩(1983)「言語資料としての『狂言記正篇』」『狂言記の研究』勉誠社*1 要点 版本『狂言記』(1660刊)の言語的特徴について 四つ仮名・開合 四つ仮名・開合に混乱がある 字[じ]がたりませぬ/ぢがたりませぬ 連濁の場合ですら間違ってお…

福嶋健伸(2004.2)中世末期日本語の~テイル・~テアルと動詞基本形

福嶋健伸(2004.2)「中世末期日本語の~テイル・~テアルと動詞基本形」『国語と国文学』81(2) 要点 中世末期のテイル・テアルは進行態を十分に表せる環境になく、動詞基本形がそこを補っている その背景として、テイル・テアルにイル・アルの意味が残って…

2019/06/23の作り置き

この記事は何 そこそこ効率的にできたのでブログにレシピを載せたくなった 自分のムーブを最適化したくなった 結論を先取りすると 左上から、 1 ナスの南蛮 2 切り干し大根(小松菜入り) 3 にんじんしりしりナムル 4 モロッコいんげんのペペロンチーノ 5 ズ…

福嶋健伸(2000.8)中世末期日本語の~テイル・~テアルについて:動作継続を表している場合を中心に

福嶋健伸(2000.8)「中世末期日本語の~テイル・~テアルについて:動作継続を表している場合を中心に」『筑波日本語研究』5 要点 中世末期日本語のテイル・テアルには動作継続を表す例が少ない 前提 中世末期日本語のテイル・テアルについてのこれまでの指…

菅原範夫(1989.3)キリシタン版ローマ字資料の表記とよみ:ローマ字翻字者との関係から

菅原範夫(1989.3)「キリシタン版ローマ字資料の表記とよみ:ローマ字翻字者との関係から」『国語学』156 要点 ローマ字本キリシタン資料の誤字や翻字の偏りを手がかりに、以下の2点を指摘 ローマ字本は翻訳者と翻字者の手を経たものであり、 翻字者は複数…

釘貫亨(1990.6)上代語動詞における自他対応形式の史的展開

釘貫亨(1990.6)「上代語動詞における自他対応形式の史的展開」佐藤喜代治編『国語論究2 文字・音韻の研究』明治書院 要点 上代語動詞の自他対応に3つのパターンを見出し、より合理的な方向へと進んだものと推定する 上代語の自他対応 上代語における自他対…