劉小妹(2020.3)「名詞「かたわら」の文法化について : 『日本語歴史コーパス明治・大正編Ⅰ雑誌』の調査による」『岡山大学大学院社会文化科学研究科紀要』49. https://doi.org/10.18926/58143
要点
- 名詞「かたわら」の文法化の状況について扱う。
- 空間的な意味の拡張は、「物の側面→近接空間→近接空間にいる人→周辺部」という順序で江戸時代までに起こっていたようである。
近代雑誌では以下の通り。
名詞用法の「かたわら」の中には後置詞とみてよいものがあり(「~のかたわら、~」)、無助詞を取るという点で従属接続詞の用法と近い。
- 従属節の用法では、
- 現代語はタを承けないのに対し(「~た一方」を使うところ)、近代は承ける例がある。
- 現代語は人間の行為を表す動詞に偏るが、近代はそれよりも広く、「社会・経済・政治の情勢を表すもの」も承ける例がある。
- 現代語にはない、副詞化した「かたわら」がある。
- 主として、貧兒を教え、傍ら村人の爲めに、書状を認ため、もしくは、其の顧問に應ぜんとする也。(女学雑誌1895)
雑記
- 文法学会のモWS、超よかった