ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

2021-09-01から1ヶ月間の記事一覧

新里博樹(1983.1)終止形を有する形容詞群の考察

新里博樹(1983.1)「終止形を有する形容詞群の考察」『国語研究』46. 要点 上代の形容詞における標記の問題について、以下の2点を考える Ⅰ 終止形を有する形容詞にはどのような語があるか Ⅱ それらの形容詞はどのような特徴を有しているか 万葉集の形容詞…

劉相溶(2000.9)形式名詞「ハズ」の意味転成:洒落本を中心に

劉相溶(2000.9)「形式名詞「ハズ」の意味転成:洒落本を中心に」『専修国文』67. 要点 ハズ関連形式を、元の名詞とのかかわりではなく、ハズ(ダ)内での意味変化内の問題として考察したい 対象資料は洒落本と、捷解新語、浮世床、遠鏡など 中世末期には…

吉田光浩(1990.3)主成分分析法による形容詞の活用分析:「枕草子」を資料として

吉田光浩(1990.3)「主成分分析法による形容詞の活用分析:「枕草子」を資料として」『大妻国文』21. 要点 形容詞の活用形の分布の偏りから、その機能の分布を検討したい 枕草子に出現する形容詞の、各活用形+補助活用の出現率を求めると、以下の相関があ…

安本真弓(2009.3)中古における感情形容詞と感情動詞の対応とその対応要因:中古前期・中期の和文作品を対象として

安本真弓(2009.3)「中古における感情形容詞と感情動詞の対応とその対応要因::中古前期・中期の和文作品を対象として」『国語語彙史の研究28』和泉書院. 要点 中古において、現代語よりも感情形容詞と感情動詞の対応(アサマシ・アサム、オドロカシ・オ…

小亀拓也(2021.3)連体修飾節中に生起しにくい述語形式について

小亀拓也(2021.3)「連体修飾節中に生起しにくい述語形式について」『間谷論集』15. 要点 連体修飾節の統語的制限についての三原(1995)の議論を定量的観点から再検討したい 「判断確定性が最高次である確言のムード表現は連体修飾節中に生起可能であり、…

菊池そのみ(2019.1)古代語の「ての」について

菊池そのみ(2019.1)「古代語の「ての」について」『筑波日本語研究』23. 要点 標記形式(飲みての後は・万821)について、以下2点を考えたい 1 古代語における、テノによる連体修飾と、連体形連体修飾との間の差異 2 古代語のテノと現代語のテノの差異 調…

山本佐和子(2020.3)中世室町期における「ゲナ」の意味・用法:モダリティ形式「ゲナ」の成立再考

山本佐和子(2020.3)「中世室町期における「ゲナ」の意味・用法:モダリティ形式「ゲナ」の成立再考」『同志社国文学』92. 要点 ゲナが「本体把握」「内実推定・原因推定」を主張し、ゲナリとの関係性からその意味が生まれる理由を考えたい cf. 大鹿1993, …