ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

2019-05-01から1ヶ月間の記事一覧

小林賢次(1995.2)「(言わ)んばかり」考:慣用表現の成立と展開

小林賢次(1995.2)「「(言わ)んばかり」考:慣用表現の成立と展開」『日本語研究』15 問題 ンバカリのンを打消のヌとして捉える立場と、推量のムとして捉える立場がある(前稿)が、どちらが妥当か 湯沢説は、当初はムバカリであったが、江戸時代には既に打…

小林賢次(1979.2)中世の仮定表現に関する一考察:ナラバの発達をめぐって

小林賢次(1979.2)「中世の仮定表現に関する一考察:ナラバの発達をめぐって」『中田祝夫博士功績記念国語学論集』勉誠社 要点 ナラバの上接語の種類の拡大という観点からナラバの発達過程を見る 前提 院政期までのナラバは、 活用語ナラバに完了性仮定(~…

岩田美穂(2007.12)「ノ・ダノ」並列の変遷:例示並列形式としての位置づけについて

岩田美穂(2007.12)「「ノ・ダノ」並列の変遷:例示並列形式としての位置づけについて」『語文』89 要点 並列のノ・ダノが引用のトに支えられて成立した形式であること、 他の並列形式と同様の変化の方向性を持つものとして捉えられることを示す 前提 「言…

Rebel Inc.(反逆の株式会社)Hardモード攻略

Plague Inc. にかつてハマった身としてしばらくドハマリしてしまい、定石らしきものが見えてきたのでメモ。 play.google.com Rebel Inc. -反逆の株式会社-Ndemic Creationsゲーム¥240 方針と対策 ノーマルまでのやり方でいくと以下のような負けパターンに陥…

大西拓一郎(2017.5)言語変化と方言分布:方言分布形成の理論と経年比較に基づく検証

大西拓一郎(2017.5)「言語変化と方言分布:方言分布形成の理論と経年比較に基づく検証」大西拓一郎編『空間と時間の中の方言:ことばの変化は方言地図にどう現れるか』朝倉書店 要点 周圏論への疑義と新しいモデルの提示 以下の仮説を提示する 1 言語変化…

信太知子(1970.9)断定の助動詞の活用語承接について:連体形準体法の消滅を背景として

信太知子(1970.9)「断定の助動詞の活用語承接について:連体形準体法の消滅を背景として」『国語学』82 要点 連体形+ナリは可能なのに、連体形+ダはないのは、連体形準体法の消滅によるもの また、その消滅過程には、ナリ・ニテアリが文相当句を承接する…

信太知子(2006.3)衰退期の連体形準体法と準体助詞「の」:句構造の観点から

信太知子(2006.3)「衰退期の連体形準体法と準体助詞「の」:句構造の観点から」『神女大国文』 要点 信太(1976)の再検討 信太(1976) 準体ノの起源を「我がの」の格助詞+ノに求め、 「我がの」の発生が中古、活用語+ノの発生が中世末~近世初頭という…

山本淳(2003.6)仮定・婉曲とされる古典語推量辞「む」の連体形:『三巻本枕草子』にある「らむ」「けむ」との比較を中心に

山本淳(2003.6)「仮定・婉曲とされる古典語推量辞「む」の連体形:『三巻本枕草子』にある「らむ」「けむ」との比較を中心に」『山形県立米沢女子短期大学紀要』38 要点 枕草子を用いた連体ムの検証により、以下の点を指摘 連体ムに積極的な仮定の意味を認…

黒木邦彦(2018.3)否定過去動詞接尾辞-(a)naNdaなどが内包する-(a)naN-の起源

黒木邦彦(2018.3)「否定過去動詞接尾辞-(a)naNdaなどが内包する-(a)naN-の起源」『Theoretical and applied linguistics at Kobe Shoin : トークス』21 要点 西日本のナンダ -(a)naNda の起源を、東日本の否定動詞接尾辞ナフ{-(a)nap-}に求める 構成 まず…

彦坂佳宣(2019.3)カ行変格活用の全国分布とその解釈

彦坂佳宣(2019.3)「カ行変格活用の全国分布とその解釈」『国語語彙史の研究』38 要点 カ変の分布について以下の点を指摘 一段化したキの発現が人口減地方に見られ、規範が緩んだことによるものであること ベーへの接続の揺れが変種キの伸張を促したこと 広…

安田尚道(2003.4)石塚龍麿と橋本進吉:上代特殊仮名遣の研究史を再検討する

安田尚道(2003.4)「石塚龍麿と橋本進吉:上代特殊仮名遣の研究史を再検討する」『国語学』54(2) 要点 橋本進吉は上代特殊仮名遣を「再発見」してはいないし、 石塚龍麿も既に音韻の区別であったと考えていたのではないか 前提 上代特殊仮名遣の発見につい…

野間純平(2013.3)高知県四万十市西土佐方言における準体助詞

野間純平(2013.3)「高知県四万十市西土佐方言における準体助詞」『阪大社会言語学研究ノート』11 要点 四万十市西土佐方言の準体助詞について、以下の点を示す ガが基本的にノとパラレルで用いられること、 モノ準体に属格助詞を介する(ノガ)場合がある…

坂井美日(2012.3)現代熊本市方言の準体助詞:「ツ」と「ト」の違いについて

坂井美日(2012.3)「現代熊本市方言の準体助詞:「ツ」と「ト」の違いについて」『阪大社会言語学研究ノート』10 ir.library.osaka-u.ac.jp 要点 熊本市方言の準体助詞ツ・トの使い分けについて、 これが形態音韻面・意味面での相補分布ではなく、統語的な…