ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

2019-11-01から1ヶ月間の記事一覧

佐佐木隆(2014.1)散文と韻文のミ語法

佐佐木隆(2014.1)「散文と韻文のミ語法」『国語国文』83(1) ※同(2016)『上代日本語構文史論考』おうふう による 前提 ミ語法に関する根本的な問題 はづかしみいとほしみなもおもほす(続紀27) 日国はイトオシムに引用、すなわち動詞連用形と見て、 古語…

米田正人ほか(2019.9)鶴岡市方言における共通語の格助詞「に」にあたる用法:格助詞「サ」の用法を中心として(鶴岡の発展的調査から)

米田正人・佐藤亮ー・水野義道・佐藤和之・阿部貴人・津田智史(2019.9)「鶴岡市方言における共通語の格助詞「に」にあたる用法:格助詞「サ」の用法を中心として(鶴岡の発展的調査から)」『方言の研究 5』ひつじ書房 要点 鶴岡のニの用法差・年層差に、…

梅林博人(2017.4)滑稽本の接続詞「しかし」について

梅林博人(2017.4)「滑稽本の接続詞「しかし」について」『表現研究』105 前提 シカシはシカシナガラのナガラが落ちて近世に発生したもので、当初は逆接性がメインではなく、付加用法とでも言うべき用法であった 逆接らしいものは近代以降に現れたとする説…

平塚雄亮(2019.3)福岡市方言の準体助詞にみられる言語変化

平塚雄亮(2019.3)「福岡市方言の準体助詞にみられる言語変化」『中京大学文学会論叢』5 前提 福岡市の若年層によって、伝統的なトだけでなく、ノ・ンも用いられるようになっている が、どのような環境でそうなるかは報告されていない どういった環境で非伝…

山口響史(2019.3)チョウダイにおける行為指示用法の成立

山口響史(2019.3)「チョウダイにおける行為指示用法の成立」『愛知淑徳大学論集 文学部編』44 前提 チョウダイの以下の意味変化と、授受表現史の中での位置付けについて考えたい 上に掲げる 受け取る(頂戴する) 行為指示(お菓子頂戴) 補助動詞による行…

土岐留美江(2014.9)動詞基本形終止文の表す意味:古代語から現代語へ

土岐留美江(2014.9)「動詞基本形終止文の表す意味:古代語から現代語へ」『日本語文法』14(2) 前提 動詞基本形終止文について考える 古代語のムと現代語のウと動詞基本形の意味には並行性がある 現代語では意志を表す場合、終止形・ウ・ツモリが用いられる…

坂井美日(2019.9)南琉球宮古語における準体の変化に関する考察

坂井美日(2019.9)「南琉球宮古語における準体の変化に関する考察」『方言の研究 5』ひつじ書房 要点 宮古語の準体にはゼロ準体と準体助詞 =su, =munu の準体があり、 ゼロ準体はコト準体から許容されなくなり、これは本土方言の歴史と一致する 準体助詞 su…

小柳智一(2019.10)副詞の入り口:副詞と副詞化の条件

小柳智一(2019.10)「副詞の入り口:副詞と副詞化の条件」森雄一・西村義樹・長谷川明香編『認知言語学を拓く』くろしお出版 前提 副詞でないものが副詞になる変化の条件を考える つゆ(名詞→程度副詞)、すべて(動詞句「統べて」→量副詞) 副詞分類には統…

野村剛史(2019.10)ノダ文の通時態と共時態

野村剛史(2019.10)「ノダ文の通時態と共時態」森雄一・西村義樹・長谷川明香編『認知言語学を拓く』くろしお出版 前提 共時態のノダ文の説明は、言いっぱなしの傾向がある 中心的用法からの派生関係による説明は、何が中心なのか決定できないし、 統一的説…

大橋浩(2019.10)譲歩からトピックシフトへ:使用基盤による分析

大橋浩(2019.10)「譲歩からトピックシフトへ:使用基盤による分析」森雄一・西村義樹・長谷川明香編『認知言語学を拓く』くろしお出版 前提 認知的アプローチは以下3点の言語観において、文法化研究と親和性が高い 認知的アプローチでは人間の言語能力と一…

眞田敬介(2019.10)認知言語学と歴史語用論の交流を探る:MUSTの主観的義務用法の成立過程をめぐって

眞田敬介(2019.10)「認知言語学と歴史語用論の交流を探る:MUSTの主観的義務用法の成立過程をめぐって」森雄一・西村義樹・長谷川明香編『認知言語学を拓く』くろしお出版 要点 MUST は「必要」から「話し手の願望」というメトニミーにより、客観的な義務…

風間力三(1967)ロドリゲス日本文典の引用した平家物語

風間力三(1967)「ロドリゲス日本文典の引用した平家物語」『甲南大学文学会論集』35 前提 天草平家の場合は訳文を通して原典を考えなければいけないが、ロドリゲス大文典の引例は直接の資料として扱うことができる 方法 天草平家と原拠本が同文であるもの…