ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

バーチャルオフィスで学会のポスターセッションを運営する

はじめに

  • ある学会の運営を担当して、oViceというバーチャルオフィスのサービスでポスターセッションをやることになった。手探りでやったらかなり魂が鍛えられたので、これからやるかもしれない人々のためにノウハウを共有したい。
    • 人文系、会員規模1000人くらい、参加登録者600人くらい、セッション参加者は250~300人くらい
    • オンライン化して4回目の大会
  • 主にやりたいこと
    • ポスターセッション
    • 書籍展示
    • 懇親会

サービスの検討

  • SpatialChat

    • 直感的に使いやすいが、範囲指定ができないのが痛い
    • 料金体系が学会向きでないが、懇親会だけならこれでよいと思う
      • 日本語文法学会懇親会での使用実績がある
  • Gather

  • Wonder

    • 直感的に使いやすく、範囲指定もできる
    • 現状無料で、更新が頻繁にあるのがやや怖い
    • スペースが狭いが複数部屋作ればいけそう?
  • oVice

    • 操作が少し直感的でなく、UIが非常にイモい
    • しかしながら他に選択肢がなく、やや消去法的にこれを選ぶ
    • 言語学フェス2022DHフェス2022などでの使用実績がある

必要な準備

  • こういう感じにして、各ブースのミーティングオブジェクト(人型マーク)に接続することで発表に参加できるという作りにした。以下、これに至るまでの説明。
    完成図

マップ作成

  • デフォルトで用意されている背景画像が「たくさんブース」向きでないので自分で作るしかなかった

かわいいね

  • Organizationでの契約の場合、スペースの最大値が4800×2560pxなので、それに収まるように「スペースのサイズ」を設定する(見本では横50*縦37)

オブジェクトの設置

  • oViceではミーティングに能動的に参加するために「ミーティングオブジェクト」というオブジェクトに接続する必要があるので、それを配置する
    • この配置が非常に面倒で、しかも座標指定による設置がメインになる。賽の河原のようにミーティングオブジェクトを積んでいく
    • このとき、ドット絵でマップを作っていると、座標の計算が簡単で少し楽
    • 全員が接続できないと困るので、権限は「来訪者」に設定
    • 声が届く範囲を設定する
      • 発表ブースはx2, 書籍ブースや雑談ブースはx1にした

ここで設定

  • 「どういうブースなのか」を表示するために、「案内板」を各ブースに設置する
    • この配置が非常に面倒で…
    • 管理者だけが編集できるようにするなら、権限は「アドミン」に設定
      • 来訪者がいじれるようにすると事故で消えるので、基本はこれでよいと思う
    • 書籍展示に関しては、「メンバー」の権限を付与した人が編集できるようにしておき、アカウントを登録してもらう形で運用した(手間はどちらも大差ないと思う)
      • 「メンバーホワイトリスト」にあらかじめメールアドレスを登録しておき、そのアドレスでアカウント登録してもらう
      • 「メンバーアクセス権」の Static object page, Members page は Off にする*1
        • こうしないと「メンバー」同士で個人情報が見えてしまう
  • 個室(「会議室」)を右の方に用意、思ったより使えてもらったようでよかった

こんな感じ

  • 全体へのアナウンスは中央上の壇上にミーティングオブジェクトを置き、都度、声の届く範囲を「x64」にして対応した(メガホン機能もあるが、それだとおそらく顔が出せない?)

ステージ

聴衆への説明

  • 触って慣れろ方式にするにしても限界があるので、入室時(左上にスポーンする)にスライドが強制表示されるようにした
    • Googleスライドのスライドショーをiframeのオブジェクトに埋め込む形で(固定オブジェクト→Other→埋め込み)表示させることができる
    • 動画はうるさいかなと思ってスライドにしたが、動画の方がよかったという声が結構あった

こんな感じで勝手に出てくる

実際の運用

  • 入り口に近いブースをトラブル対応ブースとしてスタッフに常駐してもらう
    • ただし、トラブル対応ブースまで来ることのできる参加者はほぼトラブルを回避できているというジレンマがある
  • 懇親会前、セッション前などに逐一口頭での操作の説明を入れた
    • 誰かが全体向けに喋るときは壇上のミーティングオブジェクトをx64にして、終わったらx2に
      • 現実の「マイク係」がそこにいるようである意味味わい深いという感想を頂戴した
  • 懇親会の際は案内板を隠し(一括でDeactivate)、用意していた別のマップを背景に設定
    • 終わったら元に戻す
    • 背景とオブジェクトの状態を一括で保存して、それが呼び出せたらとても嬉しい

oViceの所感

  • 使いにくいという声は一定数あったが、Zoomでやるポスター(虚無度が高く、発表者への圧迫感もすごいらしい)よりは好評だった印象
    • ウィンドウサイズが固定で、背景がレスポンシブでないのはやっぱり困る
      • 会場が広くてよくわからなかったという声あり
    • どうもブラウザ依存なところが大きいようで、Edgeではダメ、Chromeではいける、みたいなトラブルが多発する
  • 以下、参加者には見えないのであまり問題がないこと
    • とにかく管理者画面が使いにくく、魂が鍛えられた
      • 固定オブジェクトの権限変更が一括でできない
        • 権限そのものが何に対する権限なのかが明示されていないのも困った。ミーティングオブジェクトの権限は「接続」をする権限で、倍率を変える(編集をする)権限ではない。一方で、案内板の権限は案内板の編集をする権限である、など。
      • 固定オブジェクトのグループ化ができないので、activate/deactivateを一個ずつカチカチチェックする必要がある*2
      • 固定オブジェクト一覧がテーブルで用意されているのに、位置の変更にいちいち「選択」→「編集」→編集して保存というプロセスを経る必要がある
      • 固定オブジェクト一覧がテーブルで用意されているのに登録順でしか並べることができず、例えば座標による順番の並び替えなどができない
        • よって、それがどのオブジェクトなのかを完全に座標で判断する必要がある(軍師なのか?)
    • 案内板の仕様
      • 内容が長い場合、一般参加者はスクロールしないと内容の閲覧ができないが、一方で編集画面は大きめにポップするので「一般参加者もこう見えている」と思って大きめ、長めの案内が作成されることがあった(同じようにクリックで大きく表示されてほしい)
      • 案内板内のリンク編集用の小窓が、意味わからんところにフロートすることがある
      • デフォルトが角丸でイモい

*1:アドミン権限があるなら、Offがデフォルトであるべきでは?

*2:案内板にリンクがあるとタブ+スペースで一気に選択することもできない。対応される気配もなさそう……
固定オブジェクトのグループ化と一括表示非表示切り替えを出来る様にして欲しい。 - Feedbacks - oVice - フィードバック