日本語文法学会第19回大会@立命館大学
日本語文法学会 The Society of Japanese Grammar
聞いたものをいくつか
三好伸芳「従属節に現れるムードの「タ」」
- 要点:「太郎が今も独身だったことを喜んだ」のように、いわゆるムードのタが従属節に現れることがあり、これは主節述語の意味に対応する
- ムードらしい意味合いが前面に出るというだけで、機能的な振る舞いはテンスのそれとして見たほうがよく、それは従属節はなおさらなので「ムードのタが従属節に現れる」という前提のあり方自体がやや問題ありではと思った
- 例えば「買った買った」レベルになると「さあ~」や~タの反復のような構文的支えがあり、かなりムード的と言っていいように思うが…
猿渡翌加「中立叙述の条件―長崎方言の属格主語からの提案―」
- 要点:長崎方言の主節で起こるガノ交替において、進行形や終助詞バイ(「属格認可子」)が主節ノを認可する。これが久野の「中立叙述」の文であると見たとき、属格主語は非焦点化の現象として説明が可能。
- 「中立叙述と関連する」ことを示すための道具立てとして「中立叙述であるときに現れる認可子」を使っているので、それは話が循環しているのでは?と思った。
- 総記と中立叙述って綺麗に排他的な関係にあるんだろうか?
川島拓馬「「限り」の用法と歴史的変化」
- 要点:古代語の「限り」は副助詞的用法が主、接続助詞的なもののうち、特に否定を承ける仮定的な例が近代以降に増加する
- 「副助詞から接続助詞へという変化を想定しているのか?」という質疑があったが、いや普通に形式名詞→接続助詞/形式名詞→副助詞やろと思った