ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

日本語文法学会第19回大会 1日目(2018/12/15)

日本語文法学会第19回大会@立命館大学

日本語文法学会 The Society of Japanese Grammar

聞いたものをいくつか

三好伸芳「従属節に現れるムードの「タ」」

  • 要点:「太郎が今も独身だっことを喜んだ」のように、いわゆるムードのタが従属節に現れることがあり、これは主節述語の意味に対応する
  • ムードらしい意味合いが前面に出るというだけで、機能的な振る舞いはテンスのそれとして見たほうがよく、それは従属節はなおさらなので「ムードのタが従属節に現れる」という前提のあり方自体がやや問題ありではと思った
    • 例えば「買った買った」レベルになると「さあ~」や~タの反復のような構文的支えがあり、かなりムード的と言っていいように思うが…

猿渡翌加「中立叙述の条件―長崎方言の属格主語からの提案―」

  • 要点:長崎方言の主節で起こるガノ交替において、進行形や終助詞バイ(「属格認可子」)が主節ノを認可する。これが久野の「中立叙述」の文であると見たとき、属格主語は非焦点化の現象として説明が可能。
  • 「中立叙述と関連する」ことを示すための道具立てとして「中立叙述であるときに現れる認可子」を使っているので、それは話が循環しているのでは?と思った。
    • 総記と中立叙述って綺麗に排他的な関係にあるんだろうか?

川島拓馬「「限り」の用法と歴史的変化」

  • 要点:古代語の「限り」は副助詞的用法が主、接続助詞的なもののうち、特に否定を承ける仮定的な例が近代以降に増加する
  • 「副助詞から接続助詞へという変化を想定しているのか?」という質疑があったが、いや普通に形式名詞→接続助詞/形式名詞→副助詞やろと思った

雑記

  • 京都は寒かった、あと立命館のマークが楽天っぽくてよかった

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ムムッ