藤原あかね(2021.3)静岡県中部方言における推量表現「ラ」「ダラ」について
藤原あかね(2021.3)「静岡県中部方言における推量表現「ラ」「ダラ」について」『阪大社会言語学研究ノート』17.
要点
- 先行研究の指摘と話者(若年層)の内省とのズレ4点を踏まえつつラ・ダラの用法を記述したい
- 現在は、ズラ・ダズラ・ツラが使用されない
- 現在は、従属節内にはラ・ダラは生起しない(島田に行く{ラ/ズラ}デ、留守だろう)
- 現在は、疑問文にはラ・ダラは生起しない*1
- 現在は、同意求め(暑いラ=暑いね)が用いられない
- 形態的には、述語に接続し、丁寧形を持たない
- 過去のツラは現在では使われず、タ+ラが用いられる
- 統語的には、平叙文の主節末にのみ生起し、終助詞ネと共起する
- 用法的には、
- 単純推量、今後の見通し、命題確認要求、知識確認要求(三宅2011の2種)に加え、
- ダロウが持たない相互了解の形成確認(タイのお米ってまずいラ?=まずいよね?)を持つ
- ダロウとの相違点からまとめ直すと以下の通りであり、「「ラ」は、命題に対する話し手の認識を表すモダリティ形式から、終助詞のような話し手の伝達態度を表すモダリティ形式に移行しつつあると考えられる」*2
- 接続の単純化(ツラ>タ+ラ)や「相互了解の形成確認」(ヨネ相当)を持つことも、この終助詞化の進行の現れとして捉えることができる
雑記
- 最近めちゃニキビできてて、思春期来たっぽい