来田隆(1993.11)洞門抄物に於けるホドニとニヨッテ
来田隆(1993.11)「洞門抄物に於けるホドニとニヨッテ」山内洋一郎・永尾章曹(編)『継承と展開2近代語の成立と展開』和泉書院
要点
- 洞門抄物のホドニ・ニヨッテを比較する
- 接続詞のホドニは区別する
- 接続詞ホドニは論理性の高い門参(報恩録、大中寺本参)に多く、語録・代語には少ない
- 全体的な傾向として、
- 口語性が高い(ヨ体・ゾ体)ほどホドニの使用率が高いが、関西系抄物(小林1973)に比すれば低い(すなわち、「古めかしさ」が現れている)
- 上接語の種類を見ると、
- ホドニは断定、完了、動詞の順、ニヨッテは動詞、完了、断定の順で、
- ホドニには推量系が付くが、ニヨッテには付かない(上方と同様)
- ホドニにはダホドニ・ナホドニの両方があるが、ニヨッテにはナニヨッテしかない
- 後件を見ると、
- 推量・意志・希望、疑問・反語、命令・禁止は、ホドニの後件にしか来ない
- 以上より、「因果関係の把握が表現者の主観的判断に基づく場合」にホドニが用いられ、ニヨッテは「前件と後件との因果関係を客観的なものとして叙述する場合」にのみ用いられる
雑記
- 文法学会もオンライン~