三原裕子(2016.2)「後期咄本に現れる原因・理由を表す条件句」『(アクセント史資料研究会)論集』11
前提
- 明和以降の後期咄本について、以下の問題を考えたい
- ホドニ・ニヨッテ・サカイの衰退と
- カラの隆盛・ノデの抬頭
全体的な推移
- 江戸板では、
- 上方語的要素のホドニ・ニヨッテは消滅
- ユヘは東西の共通語的存在だが漸減し、
- カラに使用が集中する
- 上方板では、
- ユヘは保持される
- 「江戸の咄本は、直接的な会話がふえて口語的性格をもったカラが増加し、文章語的なユヘは減少する。一方、上方の作品の多くは話の筋で笑いを誘うために、物語風な語りの場面で使われるユヘは一定の使用が保持された」
- ユヘは保持される
- 前期咄本に遡ると、
- 狂言本で廃れたホドニが健在(「行儀の良い」保守性)
カラとノデ
- 後期咄本で最も優勢なカラについて考える
- カラが多様な役割を担うために、「次第に明晰化の力が働き」、ノデもやや使用を伸ばす
- カラが持つ、ノデにない役割としては、
- 終助詞的な言いさし
- 訛音・粗野な会話にも結びつく
- ノデはカラに遅れる形で江戸語の中に定着していく*1
- ただしノデは、「客観的事象を陳述するにとどまる」ため、客観的説明の少ない咄本では、カラに大きく入り込むことはなかった
雑記
- 大葉(和ハーブ):何かと便利だが収穫のタイミングが難しく、すぐ固くなってしまうので、使うときに買えばいいのでは…?とも思ってしまう。どうやってもハダニがついてしまって困ったのでまたリベンジしたい。
*1:後期の初期に1例のみ「むすこ「ほうをしらぬので御座りませうよ」(p.95)があるというが、これはノデの例ではないだろう。