ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

kepler.gl でGAJのデータをお手軽に可視化する

前提

  • WALS Online みたいなことが、方言文法全国地図(GAJ)でもできたらいいなあと思った。例えば、ズームできたり、クリックすると地点情報が出てきたり、フィルタがかけられたりしたらなんだか嬉しい。
  • kepler.gl というUberが公開しているオープンソースでコード書き不要のWebGISがあり、ちょっといじったら簡単に作れたのでご紹介。とりあえず下の動画のようなものが作れるようになります。

youtu.be

やり方

(1) 大西拓一郎先生のサイトからデータをダウンロード*1

(2) 「経度」「緯度」「見出し」「回答語形」あたりが揃ったファイルをCSVで作る

  • GAJのデータ①には地点名や緯度・経度そのものが記載されていないので、②③から地点の情報を呼び出してきたい。

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これだと地図上にマッピングできない

  • というわけでExcel上で、①の「地点番号」をキーにして、VLOOKUPなどで②の都道府県・調査地点名など(これは任意)、③の経度・緯度(これは必須)を呼び出す。このとき、経度・緯度の列名はそれぞれ longitude, latitude にしておくと、勝手に認識してくれて便利。

  • 必要な行を左に持ってきて、適宜不要な行を消したりまとめたりして、CSVで保存する*2

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CSVで保存

(3) 保存したCSVkepler.gl にアップする

  • Get Started → Load Files して、緯度・経度をそれぞれ Lat, Lon に結びつけると、とりあえず地図上にマッピングされる。

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列名をそうしている場合は勝手に結びつく

  • が、これだけだと色が単色なので、Fill Color のオプション(︙)で、Color Based On を、「見出し」や「見出しコード」列と結びつける。
    • と、見出しの種類に応じて色を分けてくれる。

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Color Based On

  • 色数やカラーパレットをいじってできあがり。

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かわいいGAJ

その後

  • Filter タブからフィルタが使える。すごい。

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やばすぎ

  • アイコンも自分で設定できるが、デフォルトのアイコンしか使えないようなので(参考)、これの元になっている deck.gl をいじれるようになれば、公開されている記号と組み合わせてジェネリックGAJが作れるかも。
  • 個人的には特に赤と茶色の違いがわからなくて困ることがあるので、部分的にでも「アクセシビリティの高いGAJ」が作れると嬉しい。

発展編

  • 同じポイントの場合は上のレイヤーのものしか表示・選択できないようなので、ちょっと工夫して重ねてみる。

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先生「の」だけ色が違う

  • ここでは、
    • 「雨が」「先生が」「泥棒が」の3つのデータを別々に読み込み、
    • いずれも同じカラーパレット・色数で、
    • Color Based On を見出しコードにして、
    • Radius(マークの半径)をそれぞれ10, 20, 30にしてみた。
  • 仮に同じ形式に同じ見出しコードがついているとすると、主格に立つ雨・先生・泥棒を別形式でマークする場合に、色の違う円が表示されることになる。
    • が、コードがそういう設計になっているかは分からないので、自分でラベルを付けるほうがいいだろう。
    • 「この要素にこの色」はこっち側では選択できないのかな?

参考

www.youtube.com

muramototomoya.hatenablog.com

gunmagisgeek.com

note.com

雑記

  • 最近XLOOKUPの存在を知ったけど逆に覚えられない
  • アウトプットの期間が終わったのでぼちぼちやっていきます

*1:上のサンプルを含め、国語研の成果を利用しています。

*2:マップ上ではデフォルトで上から5行分のラベルしか表示してくれないっぽい(?)→「Interactions > Tooltip」でカスタマイズ可能