2022-10-19 前田桂子(2016.11)肥前方言の当為表現ンバの推移について:方言書および方言調査を手がかりに 方言 条件表現 前田桂子(2016.11)「肥前方言の当為表現ンバの推移について:方言書および方言調査を手がかりに」『国語と教育』41. 要点 長崎方言のンバ(<ネバ)が現代では当為表現に偏る(一般的な条件表現に用いられにくい)ことに着目しつつ、その推移について記述する。 調査に基づく変遷、 郷土誌(1900頃~)や音声資料(NHK全国方言資料など)において、当為はニャ・ンバに集中し、ジャは少数、ネバはない。*1 現代において肥前特有のンバは、2009年以前の調査では平戸市にはないなどの偏りがある。 条件表現の場合はマイナス条件文(ンバ「困る」など)に偏る。 GAJ(行かなければならない、行かなければよかった)では、ンバはプラス条件(ンバ「よい」など)の例も長崎県南・県央に見られるが、現代ではほぼ使われない。 2016年の大学生へのアンケートでは、ントが台頭している。 なお、 中央語ではネバが当為表現に偏るが、これももともとは一般的な条件表現であり()、ンバにプラス条件の例があるのは、ンバがもともと一般的な条件表現(ネバ)に出自することによるものと考えられる。 ンバの発達は、「打消ンの終止形に接続助詞が下接した形式は近代的表現として受け入れやすかった」として解釈可能である。*2 雑記 www.youtube.com *1:デケンが普通にあるのおもしろい、GAJにもあるけど *2:久保薗(2016)のンジャッタ・ンメも似てる?