西尾純二(2002)秋田県鳥海町方言の推量表現形式「ガロ」と関連形式の用法
西尾純二(2002)「秋田県鳥海町方言の推量表現形式「ガロ」と関連形式の用法」『消滅に瀕した方言語法の緊急調査研究(2)』
要点
- 推量形式ガロと周辺形式について、
- 現在の肯定・否定の推量には多くがガロ、過去推量にはタロ・ダロが回答される
- 形容動詞を含め、コピュラが必要な品詞にガロが下接することを踏まえれば、「形容詞の「暑かろう」「苦しかろう」などの下線部部分がガロと音変化を起こし、形容詞と同様に、述語になるために判定詞を必要としない動詞にまでにガロが汎用されるに至ったという説を立てても叩然ではない。」(p.170)
- 確認要求にもガロは頻出し(6月はよく雨が降るガロ?)、三宅(1994)の「知識確認」「命題確認」などの用法差による使い分けはなさそう
- 現在の肯定・否定の推量には多くがガロ、過去推量にはタロ・ダロが回答される
- 推量形式ゴテは不安定で、独り言の意志に偏る(来週は花見にイグゴデ)
- ゴテは、「(他地域でも用いられる)聞き手めあて性の希薄さという性質を残しながら、その用法推量表現のみならず、意志表現にまで拡大させたものと考えられよう」
- 一方のガロは、「推量形式でありながら、聞き手めあて性を帯びており、それゆえに確認要求の文脈でも頻繁に用いられる」
雑記
- GAJにぽつんと「ガロ」があって、めちゃイカしてる