ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

中川祐治(2007.3)「いかにも」の語史:副詞の文法化の一類型

中川祐治(2007.3)「「いかにも」の語史:副詞の文法化の一類型」『国文学攷』192・193

要点

  • 標記の問題を考える
    • 現代語ではソウダ・ラシイとの共起や一種の程度副詞として用いられ、
    • 古代語のイカニの性格は専ら命題にのみかかわり、モは否定・推量・疑問・反語などの不確実性の陳述と関わる
  • 概観、
    • 1 土左では、一語としてのイカニモは成立していない
    • 2 その後、命題内で機能する、一語としてのイカニモが成立する
      • さらに[いかにも〳〵あら]ねば、かうしつゝ死にもこそすれ(蜻蛉)
    • 3 意志・願望の共起(主観的意味へのシフト)、epistemic への拡張*1
    • 4 肯定との呼応も可能になり、程度副詞として機能するようになる、など
    • 5 対人的意味が一層強まる
  • 以下のモデルが想定される*2

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p.55

雑記

  • 承服しかねるときもある

*1:「客観的意味から主観的意味への完全なシフトであり、語用論的強化の一つである」とあるけど、ここでわざわざ語用論的強化って言う必要あるんやろか

*2:義務→認識ってルートとしてあるかな