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言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

通史

仁科明(2006.3)「恒常」と「一般」:日本語条件表現における

仁科明(2006.3)「「恒常」と「一般」:日本語条件表現における」『国際関係・比較文化研究』4(2) 要点 厳密に議論されてこなかった「恒常条件」「一般条件」の定義について考える 先行研究における定義はそれほどはっきりしないが、「結び付けられる二つの…

池田來未(2021.3)複合動詞「~ヌク」の史的変遷

池田來未(2021.3)「複合動詞「~ヌク」の史的変遷」『国文』134. 要点 複合動詞Vヌクの完遂の用法(苦難を耐え抜く)の獲得について考える Vヌクの用法を姫野2018に倣って以下のように分類する p.76 調査結果、 上代は全てが〈貫通〉(踏み抜く) 中古に…

中川祐治(2006.4)副詞はどう変化するのか:日本語史から探る副詞の諸相

中川祐治(2006.4)「副詞はどう変化するのか:日本語史から探る副詞の諸相」『日本語学』25(5) 要点 文法化の枠組みで、副詞の変化の実態とメカニズムについて考える 1 イタク・イト イタもしくは形容詞イタシから派生した語で、 イタク・イト(甲)は原義…

福田嘉一郎(1998.2)説明の文法的形式の歴史について:連体ナリとノダ

福田嘉一郎(1998.2)「説明の文法的形式の歴史について:連体ナリとノダ」『国語国文』67(2) 要点 連体ナリとノダの関係について、平家と天草平家の対照に基づいて考える 信太1970は、連体形準体法+ナリ→連体形+ノor形式名詞+コピュラへの交替を想定する…

竹内史郎(2005.1)サニ構文の成立・展開と助詞サニについて

竹内史郎(2005.1)「サニ構文の成立・展開と助詞サニについて」『日本語の研究』1(1) 要点 サニ構文の先行論3点、 a 中古のサニは形容詞語幹+サ+ニ b 室町期は単一の形態素サニ c a,bより、[[…ノ~サ]ニ]→[[…ガ~]サニ]の変化と記述できる このう…

青木博史(2003.3)「~サニ」構文の史的展開

青木博史(2003.3)「「~サニ」構文の史的展開」『日本語文法』3(1) 要点 原因・理由を表す「形容詞語幹+サ+ニ」について、句の包摂の観点から考える 消長について、 現代語で「特定の語彙に固定されてはいない」(影山1993)とされるが、 実質的にはほぼ…

木下書子(1993.12)「けん」から「つらう」へ:「る」「らる」を承ける場合を中心に

木下書子(1993.12)「「けん」から「つらう」へ:「る」「らる」を承ける場合を中心に」『国語国文学研究』29 要点 ケンからツラウへの交替について、特に上接語の制限を中心に考えたい 当初のツランはケンの領域を侵さないのだが、 これはツの上接語の制限…

小木曽智信(2020.3)通時コーパスに見るモダリティ形式の変遷

小木曽智信(2020.3)「通時コーパスに見るモダリティ形式の変遷」田窪行則・野田尚史(編)『データに基づく日本語のモダリティ研究』くろしお出版 要点 CHJを用いて、モダリティ形式の大きな変化を見る 古代語はム・ムズ・ジ、ケム・ベシ・マジ・ラシ・メ…

森脇茂秀(2000, 2001)希望の助辞「もがな」「がな」をめぐって

森脇茂秀(2000.12)「希望の助辞「もがな」「がな」をめぐって(一)」『別府大学国語国文学』42 森脇茂秀(2001.3)「希望の助辞「もがな」「がな」をめぐって(二)」『山口国文』24 要点 シカ系・カシは「詠嘆的希望表現」から「主体的希望表現」へと変…

信太知子(1998.3)「である」から「ぢゃ」へ:断定の助動詞の分離型と融合型

信太知子(1998.3)「「である」から「ぢゃ」へ:断定の助動詞の分離型と融合型」『神女大国文』9 要点 ヂャの成立にはニアリ>ニテアリ>デアル>デア>ヂャが想定されているが、文献にはデアル系(分離型)はそれほど多く見られない ヂャは15C後半、デアルは12…

森勇太(2018.5)近世・近代における授受補助動詞表現の運用と東西差:申し出表現を中心に

森勇太(2018.5)「近世・近代における授受補助動詞表現の運用と東西差:申し出表現を中心に」小林隆(編)『コミュニケーションの方言学』ひつじ書房 要点 申し出表現の地理的なバリエーションを考える (その荷物は私が)持たしてもらいます(GAJ320・京都…

森勇太(2011.4)申し出表現の歴史的変遷:謙譲語と与益表現の相互関係の観点から

森勇太(2011.4)「申し出表現の歴史的変遷:謙譲語と与益表現の相互関係の観点から」『日本語の研究』7(2) 要点 申し出表現の考察を通して、テアゲル・テサシアゲルなどの「与益表現」の運用の変遷について考える 前提、申し出における与益表現は、 現代語…

宮内佐夜香(2016.12)逆接確定条件表現形式の推移についての一考察:中世後期から近世にかけて

宮内佐夜香(2016.12)「逆接確定条件表現形式の推移についての一考察:中世後期から近世にかけて」青木博史・小柳智ー・高山善行(編)『日本語文法史研究3』ひつじ書房 要点 ドモ・ドからガ、ケレドモ・ケレドへの移行について考える ドモ→ケレドモの過程…

青木博史(1997.7)カス型動詞の消長

青木博史(1997.7)「カス型動詞の消長」『国語国文』67(7) 要点 以下の問題点を踏まえて、近世以降のカス型動詞について考える 現代語には見られないものがあること(くゆらかす、ふくらかす、つからかす) 意味用法を大きく変えた例があること(胸を冷やか…

青木博史(1997.3)カス型動詞の派生

青木博史(1997.3)「カス型動詞の派生」『国語学』188 要点 カス型動詞(散らかす、冷やかす)について明らかになっていること カスが肥大化した接尾語であること スの動詞(タブル・タブラス・タブラカス)を持つ代入型が直接型に先行すること 「よくない…

土岐留美江(2012.6)意志表現とモダリティ

土岐留美江(2012.6)「意志表現とモダリティ」沢田治美編『ひつじ意味論講座第4巻 モダリティII:事例研究』ひつじ書房 要点 モダリティの事例研究として意思表現について考えたい モダリティ体系の中での意志の位置付けは、そもそもモダリティに組み込むか…

野村剛史(1996.5)ガ・終止形へ

野村剛史(1996.5)「ガ・終止形へ」『国語国文』65(5) 要点 「ガー終止形」の発達について考える 上代から中古に見られるノ・ガの下接語・構文の変化は以下の通り 係り結びが、連体形句と呼応する「〈ーカ・ヤ・ソ〉〈ーノ・ガー連体形〉」の語順を守らなく…

野村剛史(1993.12)古代から中世の「の」と「が」

野村剛史(1993.12)「古代から中世の「の」と「が」」『日本語学』12(10) 要点 上代のノ・ガの文法的性格まとめ(野村1993)、 ノは以下の5つの用法、ガは①④のみを持ち(野村1993)、 ①主格 ②比喩 ③同格 ④所有格 ⑤その他 主格ノ・ガは従属句の中に、「~は…

清田朗裕(2020.3)ソモソモ考

清田朗裕(2020.3)「ソモソモ考」『国語と教育(大教大)』45 要点 ソモソモの名詞用法(そもそもが~)の獲得の過程と要因について考える いわゆる文法化の方向性とは逆の方向性を持つ(接続詞→名詞) 大文典や日葡には接続詞的なカテゴリとして記述されて…

宮地朝子(2010)ダケの歴史的変化再考:名詞の形式化・文法化として

宮地朝子(2010)「ダケの歴史的変化再考:名詞の形式化・文法化として」田島毓堂編『日本語学最前線』和泉書院 要点 ダケの限定用法が他用法に遅れることは知られているが、その成立はよく分かっていないし、他用法との連続性も認められる 以下の歴史的変化…

大鹿薫久(2004.6)モダリティを文法史的に見る

大鹿薫久(2004.6)「モダリティを文法史的に見る」尾上圭介(編)『朝倉日本語講座6文法Ⅱ』朝倉書店 要点 モダリティを「判断のありように対応する意味上の概念」と規定して、叙実(疑問できる)・叙想(疑問できない)の別を設けると、現代語のモダリティ…

松本朋子(2011.3)「いかにも」の歴史的変遷

松本朋子(2011.3)「「いかにも」の歴史的変遷」『日本語・日本文化』37 要点 標記の問題について考える 古くは「否定」「任意」の2用法で用いられ、この段階では不定語としての性格を色濃く持つ これは、不定語イカニが選択対象の要素である前提集合を持つ…

中川祐治(2007.3)「いかにも」の語史:副詞の文法化の一類型

中川祐治(2007.3)「「いかにも」の語史:副詞の文法化の一類型」『国文学攷』192・193 要点 標記の問題を考える 現代語ではソウダ・ラシイとの共起や一種の程度副詞として用いられ、 古代語のイカニの性格は専ら命題にのみかかわり、モは否定・推量・疑問…

青木博史(2013.12)複合動詞の歴史的変化

青木博史(2013.12)「複合動詞の歴史的変化」影山太郎(編)『複合動詞研究の最先端:謎の解明に向けて』ひつじ書房 要点 標題の問題について、 まず、古代語の複合動詞あるない問題を考える ある派:暮れ行く、とり~、敬語など、意味的・統語的に「複合し…

山内洋一郎(1970.9)「もが」「がな」と「が」

山内洋一郎(1970.9)「「もが」「がな」と「が」」『月刊文法』2-11 要点 もが類の変遷は もか>もが>もが+な>も+がな / を+がな>がな と理解される 「女常世に母加母」(古事記歌謡97)の例より、古くは清音か なお、俊成『古今問答』にも(濁でない)声…

山口堯二(2001.3)「まい」の通時的変化

山口堯二(2001.3)「「まい」の通時的変化」『仏教大学文学部論集』85 要点 マイの意義用法の変遷について考える 意義として以下6種を立てる 打消推定(せまい振る舞い)>打消推量(よも遠くへはござあるまい) 打消意志:(ここには)留まるまい 不適当:…

山口堯二(1999.10)「べし」の通時的変化

山口堯二(1999.10)「「べし」の通時的変化」『京都語文』4 要点 中古~室町までのベシの歴史を考える 意義の相互関係をまとめると、 p.194 通時的な見通しとしては、 中世には、状態を推定対象とする割合が減少している。 中世には、当為を推定対象とする…

山口堯二(1991.6)推量体系の史的変容

山口堯二(1991.6)「推量体系の史的変容」『国語学』165 要点 ム系の推量辞の歴史について考える 古代語の推量辞は、「現実のありようをなぞる」形で事態の現実性を識別する、「現実密着」型 ムード表示を担うだけでなく、むしろ対象のありようの表示をする…

森脇茂秀(2015.3)比況表現の一形式

森脇茂秀(2015.3)「比況表現の一形式」『山口国文』38 前提 九州方言のゴト・ゴタルが希望表現に出現する要因を考えるために、 ヤウナリが希望表現を獲得する過程を考える ヤウナリ・ヤウニの意味 中古においてヤウナリが比況になる場合、以下の傾向がある…

山口堯二(2001.10)「やうなり>やうだ」の通時的変化

山口堯二(2001.10)「「やうなり>やうだ」の通時的変化」『京都語文』8 前提 やるなり>やるなる>やうな>やうぢや>やうだ の変化の見通しを示したい 以下の用法に分類できる 類縁性(様相の類似するもの同士を関係付ける) 例示 一致(この前のようにやる)…