副詞
劉小妹(2020.3)「名詞「かたわら」の文法化について : 『日本語歴史コーパス明治・大正編Ⅰ雑誌』の調査による」『岡山大学大学院社会文化科学研究科紀要』49. https://doi.org/10.18926/58143 要点 名詞「かたわら」の文法化の状況について扱う。 空間的な…
川瀬卓(2021.6)「副詞「ひょっとすると」類の成立 : 副詞の呼応における仮定と可能性想定の分化」『語文研究』130/131. 要点 ヒョットスルト類(スルト/シタラ/シテ)が擬態語に由来することと、類義語であるモシカスルトが同じ構成要素を持つことに注目…
劉玲(2003.2)「情態副詞「セイセイト(清々ト)」の発生 抄物における「X字(原漢文)⇒XXト・ニ(抄文)」という表現法を通じて」『日本語と日本文学』36. 要点 抄物に見られるセイセイトは、中国語の「清々」とは意味が異なり、漢語出自とは認められ難い…
林禔映(2017.5)「副詞「所詮」の史的変遷」『日語日文學研究』101(1). 要点 所詮が否定的意味を持つこと、「詮ずるところ」と訓読される例に注目しつつ、その歴史について考える。 史的変遷、 原義は仏教語の「大乗の経典によって表されること」であり、中…
佐田智明(2002.3)「副詞「決して」の成立について」『日本近代語研究3』ひつじ書房. 要点 「決して」は当初(近世文化頃まで)、「さだめて」「必ず」の意を持ち、否定とも呼応するようになる。 化政期以降、例えば八笑人では否定との呼応に偏り、文政期以…
樋渡登(2002.3)「副詞「総別」「総じて」と洞門抄物」『日本近代語研究3』ひつじ書房.(2007『洞門抄物による近世語の研究』おうふう を参照) 要点 洞門抄物における「総別」「総じて」の差異を、以下の分類に従いつつ考える。 全体用法:全体を概括的に…
川瀬卓(2011.4)「叙法副詞「なにも」の成立」『日本語の研究』7(2). 要点 ナニモに以下の2種があることを踏まえ、その歴史的変化について考える。 数量詞相当:ごはんをなにも食べなかった。 叙法副詞:なにも野菜が嫌いなわけじゃないよ。 一方で室町には…
佐々木文彦(2012.3)「副詞「ふと」の意味・用法の変遷について」『近代語研究16』武蔵野書院 要点 『三四郎』の「三四郎はとんだことをしたのかと気がついて、ふと(≒あわてて・急いで)女の顔を見た」の現代語からの違和感を手がかりとして、その意味変化…
大坪併治(2003.9)「石山寺本『大智度論』天安点における文法上の諸問題」『訓点語と訓点資料』111. 要点 石山寺本『大智度論』天安点には、以下の文法上問題のある点がある。 動詞:サ変+キにおいて、セシ・セシカでなく、シシ・シシカとする場合がある。…
林禔映(2021.12)「近世資料の文体差による叙法副詞の使用実態:「サスガ(ニ・ハ)」を例にして」『日本語教育(韓国日本語教育学会)』98. 要点 近世の副詞研究で手薄である文体的特徴に注目し、サスガニ・サスガハの文体差(ここでいう文体は、文末辞を…
李知殷(2012.8)「副詞「多分」の史的変遷をめぐって」『立教大学大学院日本文学論叢』12. 要点 「多分」が「大多数」の意から、副詞へと変化する過程について。 中世の「多分」は、「ある集団、物事のなかの多い部分」を表す例が多く、一部、動詞に係る形…
吉本裕史(2022.3)「副詞「ちゃんと」の語史」『Nagoya Linguistics』16. 要点 以下のチャント2種のうち、a は様態副詞、b は評価成分であり、a → b の派生が想定される。その派生過程を確かめる。 a [[ちゃんと動か]ない] b ちゃんと[[動か]ない] …
吉本裕史(2020.11)「副詞「きっと」の語史:推量の用法の成立についての考察」『名古屋大学国語国文学』113. https://doi.org/10.18999/nagujj.113.168 要点 情態副詞のキット(きっと目元を引き締めた)が推量の用法(陳述副詞、きっと好転する)を獲得す…
中本茜(2016.2)「天草版『平家物語』の副詞「まことに」の付加について」『国文学論叢』61. 要点 天草平家が評価の語にマコトニを付加するのは、「物語理解のため」という理由を超えた編纂態度であり、編者の関心の所在や主題の所在を窺うことができるので…
古田龍啓(2022.3)「副詞タシカの語史」『日本語文法』22(1). 要点 副詞タシカが想起文でのみ使われ、タシカニと区別されるようになった経緯について考える。 日国では噺本(17C末)に見られる推量を伴うタシカが挙げられるが、洞門抄物に以下の例があると…
橋本博幸(1990.6)「漢文訓読語の国語文への受容:「サダメテ」の場合」『訓点語と訓点資料』84. 要点 サダメテをケースに、「(漢文)直訳語がどのように国語文に受容されていったか」(例えば、意味や用法はそれをそのまま踏襲するのか?)を考える。 訓…
中川祐治(2004.3)「「コソ」「ゾ」による係り結びと交替する副詞「マコトニ」について:原拠本『平家物語』と『天草版平家物語』の比較を手がかりに」『文学・語学』178. 要点 大野(1993)の「副詞表現の発達が係り結びの衰退の要因となった」という指摘…
中川祐治(2006.4)「副詞はどう変化するのか:日本語史から探る副詞の諸相」『日本語学』25(5) 要点 文法化の枠組みで、副詞の変化の実態とメカニズムについて考える 1 イタク・イト イタもしくは形容詞イタシから派生した語で、 イタク・イト(甲)は原義…
松本朋子(2011.3)「「いかにも」の歴史的変遷」『日本語・日本文化』37 要点 標記の問題について考える 古くは「否定」「任意」の2用法で用いられ、この段階では不定語としての性格を色濃く持つ これは、不定語イカニが選択対象の要素である前提集合を持つ…
中川祐治(2007.3)「「いかにも」の語史:副詞の文法化の一類型」『国文学攷』192・193 要点 標記の問題を考える 現代語ではソウダ・ラシイとの共起や一種の程度副詞として用いられ、 古代語のイカニの性格は専ら命題にのみかかわり、モは否定・推量・疑問…
小柳智一(2019.10)「副詞の入り口:副詞と副詞化の条件」森雄一・西村義樹・長谷川明香編『認知言語学を拓く』くろしお出版 前提 副詞でないものが副詞になる変化の条件を考える つゆ(名詞→程度副詞)、すべて(動詞句「統べて」→量副詞) 副詞分類には統…
岡部嘉幸(2011.3)「否定と共起する「必ず」について:近世後期江戸語を中心に」『千葉大学人文研究』40 問題 現代語においては必ずは肯定述語と呼応するが、江戸語に否定述語と共起する例がある 女房「そう仕なせへ。必(かならす)好男(いゝをとこ)を持…
吉田永弘(2016.3)「副詞「たとひ」の構文」『国学院大学大学院紀要 文学研究科』47 要点 副詞たとひ(たとへ)について、以下の点を示す 位相の偏りが中世後期にはなくなる 意味レベルでは逆接仮定で変わらないが、形式レベルでは主にトモと呼応しつつ、様…
新野直哉(2012.3)「昭和10年代の国語学・国語教育・日本語教育専門誌に見られる言語規範意識:副詞”とても”・「ら抜き言葉」などについて」『言語文化研究(静岡県立大学短期大学)』11 要点 タイトルまんま、専門誌の論文における言語意識の記述について …
林禔映(2018.3)「評価副詞の成立と展開に見られる変化の特徴」『近代語研究』20 要点 「いっそ・さすがに・しょせん・せっかく・どうせ」を対象として、評価的意味を持つ副詞の形成に見られる変化の諸相を類型化する 意味変化として 変化前の語義・形態 名…
島田泰子(2018.3)「副詞〈なんなら〉の新用法:なんなら論文一本書けるくらい違う」『二松學舍大学論集』61 要点 タイトルまんま、現代における「なんなら」の新用法の発達に関して 従来の「なんなら」 日国に立項されるのは、以下の2種 (1)相手の意志・希…
川瀬卓(2017.12)「副詞「どうやら」の史的変遷」『語文研究』124 要点 副詞「どうやら」の推定用法の成立と周辺現象に関して 「どうやら太郎のようだ」などの推定との共起制限が成立期にはない 感覚的描写→感覚的描写&推定 という変化の筋道を立て、一般…
兪三善(2015.10)「アーネスト・サトウ『会話篇』における言いさし表現について」『実践国文学』88 要点 サトウ『会話篇』に見られる言いさしについて ご ていねい に ありがとう ございます.さあ まず, まず, こちら へ どうか.わざと とそ を しとつ…
鳴海伸一(2013.11)「副詞における程度的意味発生の過程の類型」『国立国語研究所論集』6 前記事の「けっこう」より前に書かれた、程度副詞の発生の類型化の論文(のうちの一つ) 要点 共時的観点から、工藤(1983)*1 スラッシュ以降は鳴海(2013)による…
鳴海伸一(2017.11)程度副詞「けっこう」の成立と展開」『和漢語文研究(京都府立大学)』15 要旨 「けっこう」の主に、程度副詞用法の成立について述べるもの けっこうな物を着たがるは婬欲の心なり(六物図抄・形容動詞) それでもけっかう勤りますのさ(…