土岐留美江(2002.3)「「だろう」の確認要求の用法について:江戸時代後期と現代語における様相の比較」『日本近代語研究3』ひつじ書房(土岐2010による)
要点
- ダロウの確認要求の発生を、推量表現の史的変遷に位置づけて考える((((この論文が参考文献では土岐(1998)になっていて、4年かかったのか…となりつつ🐑の校閲どうなってんのと思い、東大100周年論集が本そのまま参考文献に挙がってて、やはり🐑の校閲どうなってんのと思っている)) ))
- 全体としては、後期江戸語~現代語にかけて、確認要求が増える
- 前接語について、
- 後期江戸語には際立った偏りはないが、
- 現代語では、推量における活用語:非活用語が同数であるのに対し、確認要求の場合は活用語が多い
- 共起語について、
- 江戸語のほうが現代語よりも、共起副詞が豊富
- 江戸語・近代語において、推量に関わる副詞(大方など)が、確認要求の場合にも共起する場合がある
- ダロウが確認要求という狭い用法へと変容していく過程で、副詞類と狂喜しにくくなっていったのではないか
- 共起する終助詞が減少するという傾向も、これに沿う
- ダロウの確認要求が増えた要因を考える、
- 資料の側の表現態度や「確認要求」が行える関係性が描かれるようになる社会構造といった時代的背景もあるが、
- 「近代以降の、対人指向の機能を担う言語形式の需要の増大」も要因
- 分析的な推量表現の発達も、ダロウを「対人関係指向の機能を果たすものへと押しやった」と考えられる
雑記
- 日本近代語研究高すぎ問題