近藤要司(2019.3)『源氏物語』の助詞ヨについて
近藤要司(2019.3)「中古の感動喚体句について(2)『源氏物語』の助詞ヨについて」『古代語の疑問表現と感動表現の研究』和泉書院(1996『金蘭短期大学研究誌』27)
要点
- いわゆる「詠嘆」を表すヨを、以下の2つに絞って考えたい
- 体言句に下接するヨ
- 活用語連体形に下接するヨ
- 体言ヨ:
- まず、眼前の物事を指向するものがあり、
- 呼びかけに使われるものと、
- 助詞ヤの感動表現に後続するもの(~ヤ。~ヨ。)、ヨは必須で、体言句の構造は比較的単純
- 内容的には、主語的内容(我心よ)と述語的内容(あいなしや)が文形式において密接に結びつく
- 「喚体として一つの文でありながら、しかもより大きい文の部分であろうとする」(川端)
- 眼前の物事を指向しないヨもあるが、指向するヨと比べて述部が複雑になっている
- ただし、あくまでも体言句ではある
- 他のヨも皆、感動表現、文脈依存的な対照、~さよなど、述体的な文を構成するものではない
- まず、眼前の物事を指向するものがあり、
- 連体形ヨ:
- Nヨと共通点が多いが、主語の現れ方に差異がある
- つまり、Nヨの主語は~ノ~ヨと連体修飾部に組み込まれるが、連体形ヨの場合は述体句的なものも見られる
- いみじく思すめる人は、かうは、よも、あらじよ
- まとめ、
- ヨは全体が体言相当の文に下接して用いられ、述体としての文節を構成することはほとんどなく、前後の文脈に依存する表現を構成する
- 一方で必須成分として働いたり(あいなしや我心よ)、述体句を構成する連体形ヨなど、述語文節を構成することもあった
雑記
- Undertaleの没データ集とか見てる