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言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

終助詞

山本佐和子(2016.3)五山・博士家系抄物における濁音形〈候゛〉について

山本佐和子(2016.3)『五山・博士家系抄物における濁音形〈候゛〉について」『国語語彙史の研究35』和泉書院. 要点 杜詩抄などの五山・博士家系抄物に、濁音形「ゾウ」があり、 これは、他の文末形式(ヂャ・ゾ)と併用され、周辺的・補助的な注釈内容を示…

篠崎久躬(1996.10)江戸時代末期長崎地方の文末助詞「ばい」と「たい」

篠崎久躬(1996.10)「江戸時代末期長崎地方の文末助詞「ばい」と「たい」」『長崎談叢』85. (篠崎久躬(1997.5)「文末助詞:「ばい」と「たい」」『長崎方言の歴史的研究:江戸時代の長崎語』長崎文献社 による) 要点 当期の長崎方言資料には、バイ・タ…

山本淳(2003.6)近世庄内方言の文末助辞ケ

山本淳(2003.6)「近世庄内方言の文末助辞ケ」『米沢国語国文』32. 要点 近世庄内郷土本を用いて、文末助辞ケの用法を(渋谷1999と比較しつつ)調査する。 形式的な面から、 状態用言はル形のみ、動作・変化動詞はル・タに接続し、江戸語・東京語より接続先…

渋谷勝己(1999.10)文末詞「ケ」:三つの体系における対照研究

渋谷勝己(1999.10)「文末詞「ケ」:三つの体系における対照研究」『近代語研究10』武蔵野書院. 要点 文末詞ケについて、現代東京方言、山形市方言、江戸語の間で対照を行い、山形市方言の用法が広く、東京方言の用法が限定的であることを示す。 東京方言の…

常盤智子(2013.10)富田源太郎著『英和婦人用会話』にみられる助動詞「ウ」+終助詞「ワ」について

常盤智子(2013.10)「富田源太郎著『英和婦人用会話』にみられる助動詞「ウ」+終助詞「ワ」について」『近代語研究17』武蔵野書院. 要点 富田源太郎(1867?-1917)による英学会話書『英和婦人用会話』(1914刊)は、当時の口頭語が反映されるものと見られ…

長崎靖子(2004.11)江戸語から東京語に至る断定辞としての終助詞「よ」の変遷

長崎靖子(2004.11)「江戸語から東京語に至る断定辞としての終助詞「よ」の変遷」『近代語研究12』武蔵野書院. 要点 前稿(2004.3)で示した江戸語の断定を表すヨの通時的変遷を、サとの比較も含めて考える 江戸語の断定のヨは女性の使用に(結果的に)制約…

長崎靖子(2004.3)『浮世風呂』『浮世床』に見る断定辞としての終助詞「よ」の位相:断定辞としての終助詞「さ」との比較から

長崎靖子(2004.3)「『浮世風呂』『浮世床』に見る断定辞としての終助詞「よ」の位相:断定辞としての終助詞「さ」との比較から」『会誌(日本女子大学)』23. 要点 江戸語で断定を表すヨの位相を、サ(長崎1998)との比較から考える ヨは、 男女ともぞんざ…

長崎靖子(1998.3)江戸語の終助詞「さ」の機能に関する一考察

長崎靖子(1998.3)「江戸語の終助詞「さ」の機能に関する一考察」『国語学』192. 要点 現代語では終助詞サは仲間内のぞんざいな会話に使用されるものとされるが、 江戸・東京語では、幕末までは丁寧な会話にも使用される (福助→金)さやうさ 是ぢやア豊年…

森野崇(1993.5)奈良時代の終助詞「ぞ」について

森野崇(1993.5)「奈良時代の終助詞「ぞ」について」『国語国文』62(5). 要点 前稿(森野1992)で述べた、中古の終助詞ゾの特徴が、上代のゾにも当てはまるのかを検証する 中古のゾ:「判断の対象として素材化されたモノ・コトについて、表現主体の断定の判…

森野崇(1992.3)平安時代における終助詞「ぞ」の機能

森野崇(1992.3)「平安時代における終助詞「ぞ」の機能」『国語学』168. 要点 従来指摘される終助詞ゾの性質2つのうち、 「措定」「指示」「強示」など 聞き手を指向する性質(「教示」も含め) 後者の「聞き手指向性」は、以下の理由により認められない ナ…

野呂健一(2013.3)「~わ~わ」構文の分析

野呂健一(2013.3)「「~わ~わ」構文の分析」『日本語文法』13(1). 要点 並列述語構文「~わ~わ」に以下の2種類を認めるとき、 V1わV2わ:雨には降られるわ、デートに遅刻するわ、… VわVわ:雨が降るわ降るわ 「V1わV2わ」は以下ような特徴を持ち(「交差…

矢島正浩(1996.3)「疑問表現+しらぬ」の表現:近世前・中期の狂言台本を資料として

矢島正浩(1996.3)「「疑問表現+しらぬ」の表現:近世前・中期の狂言台本を資料として」『国語学研究』35. 要点 近世前・中期の狂言台本に見られる「疑問表現+しらぬ」について、以下3点を主張 ① 形式としては、内容的疑問(Wh疑問)の場合に、ゾを伴う→…

近藤要司(2022.3)「活用語カナ」型詠嘆表現の衰退について

近藤要司(2022.3)「「活用語カナ」型詠嘆表現の衰退について」『神戸親和女子大学言語文化研究』16. 要点 活用語+終助詞カナ(活用語カナ)の衰退の要因を以下の点に求める 中古のカナは上代の「~も~かな」を引き継ぎ、話者の内面の情動そのものを述べ…

藤原あかね(2021.3)静岡県中部方言における推量表現「ラ」「ダラ」について

藤原あかね(2021.3)「静岡県中部方言における推量表現「ラ」「ダラ」について」『阪大社会言語学研究ノート』17. 要点 先行研究の指摘と話者(若年層)の内省とのズレ4点を踏まえつつラ・ダラの用法を記述したい 現在は、ズラ・ダズラ・ツラが使用されな…

村上昭子(1981.7)終助詞「かしら」の語史

村上昭子(1981.7)「終助詞「かしら」の語史」『馬淵和夫博士退官記念国語学論集』大修館書店 要点 終助詞カシラの成立の過程について考える 抄物にはないので、虎明本と虎寛本の比較を示す 虎明本では ~しらぬ、~しらず、~ぞんぜぬ があり、まだカシラ…

黄孝善(2020.3)近世江戸語終助詞の階層性と体系

黄孝善(2020.3)「近世江戸語終助詞の階層性と体系」『国語学研究』59 要点 標記の問題について、田野村1994が以下の分類を試みているが、説明できないものがある ワ(A)+サ(A)の処理の問題、ヤサ・ヤイの例があることなど p.415 承接順序を示すと以下…

森脇茂秀(2000, 2001)希望の助辞「もがな」「がな」をめぐって

森脇茂秀(2000.12)「希望の助辞「もがな」「がな」をめぐって(一)」『別府大学国語国文学』42 森脇茂秀(2001.3)「希望の助辞「もがな」「がな」をめぐって(二)」『山口国文』24 要点 シカ系・カシは「詠嘆的希望表現」から「主体的希望表現」へと変…

佐々木峻(1993.11)大蔵流狂言詞章の文末表現法:「……か知らぬ。」「……ぢゃ知らぬ。」等の言い方について

佐々木峻(1993.11)「大蔵流狂言詞章の文末表現法:「……か知らぬ。」「……ぢゃ知らぬ。」等の言い方について」山内洋一郎・永尾章曹(編)『継承と展開2近代語の成立と展開』和泉書院 要点 虎明本・虎寛本の「か知らぬ」系の形式について見る ひとまず、「ぞ…

新沢典子(2003.3)古代和歌における呼びかけ表現の変化:希求の終助詞「ね」の表現形式化をめぐって

新沢典子(2003.3)「古代和歌における呼びかけ表現の変化:希求の終助詞「ね」の表現形式化をめぐって」田島毓堂・丹羽一彌(編)『日本語論究7』和泉書院 要点 標記の問題について考える 「歌謡段階で生きていた対詠的表現が歌の場の変化を反映して形式化…

新沢典子(1999.3)万葉集における希望の終助詞「な・ね・なむ」について

新沢典子(1999.3)「万葉集における希望の終助詞「な・ね・なむ」について」『美夫君志』58 要点 ナ・ネ・ナムについての問題、 ナ・ネは実現可能性の髙い希求、ナムは低い希求を表すとされるが、反例は多く、ナ・ネが中古まで残らないことの説明もできない…

新沢典子(2001.12)集団の声としての「いまは漕ぎ出でな」:願望の終助詞「な」に映る古代和歌史

新沢典子(2001.12)「集団の声としての「いまは漕ぎ出でな」:願望の終助詞「な」に映る古代和歌史」『名古屋大学国語国文学』89 要点 願望のナは主語が単数のときに願望を、複数のときに勧誘を表すとされるが、その定義に当てはまらない例がある。このこと…

富岡宏太(2014.10)中古和文における体言下接の終助詞カナ・ヤ

富岡宏太(2014.10)「中古和文における体言下接の終助詞カナ・ヤ」『日本語の研究』10(4) 要点 カナ・ヤの共通点と相違点を考える 既知のこととして、両者は構文的に連体修飾を必須とするが、カナは「連体形Nカナ」、ヤは「形容詞・形容動詞語幹ノNヤ」とな…

近藤要司(2019.3)「をかしの御髪や」型の感動喚体句について

近藤要司(2019.3)「中古の感動喚体句について(3)「をかしの御髪や」型の感動喚体句について」『古代語の疑問表現と感動表現の研究』和泉書院(2013『親和国文』47)*1 要点 感動喚体句の典型の1つ、「~の~や」(他2つは~カナ、~ヨ)型について考える…

近藤要司(2019.3)『源氏物語』の助詞ヨについて

近藤要司(2019.3)「中古の感動喚体句について(2)『源氏物語』の助詞ヨについて」『古代語の疑問表現と感動表現の研究』和泉書院(1996『金蘭短期大学研究誌』27) 要点 いわゆる「詠嘆」を表すヨを、以下の2つに絞って考えたい 体言句に下接するヨ 活用…

近藤要司(2019.3)『源氏物語』の助詞カナについて

近藤要司(2019.3)「中古の感動喚体句について(1)『源氏物語』の助詞カナについて」『古代語の疑問表現と感動表現の研究』和泉書院(1997『金蘭短期大学研究誌』28) 要点 中古の感動喚体句、特にカナの特徴を考えたい Nカナ、活用語カナ、他の助詞との比…

近藤要司(2019.3)『万葉集』のハモについて

近藤要司(2019.3)「上代の感動喚体句について(2)『万葉集』のハモについて」『古代語の疑問表現と感動表現の研究』和泉書院(1999「係助詞の複合について(3)『万葉集』のハモについて」『金蘭国文』3) 要点 助詞ハは文末用法がないが、ハモは文末用法…

小出祥子(2020.3)奈良時代語におけるラムカ構文とケムカモ構文

小出祥子(2020.3)「奈良時代語におけるラムカ構文とケムカモ構文」『名古屋短期大学研究紀要』58 要点 ム系助辞と終助詞カ・カモの接続関係について考える ラム・ケムの出現環境をまとめると次の通りで、 p.5 ラムカはあるのにケムカは少なく、ケムカモは…

上林葵(2019.8)関西方言における終助詞的断定辞「ジャ」の機能:マイナス感情・評価の提示

上林葵(2019.8)「関西方言における終助詞的断定辞「ジャ」の機能:マイナス感情・評価の提示」『日本語の研究』15(2) 要点 関西方言のジャはヤと類似するが、ジャは限定的なモーダルな働きを強く帯びる働きを持つ (本の所有者が誰かを単に尋ねられて)そ…

富岡宏太(2017.10)中古和文の助詞カシ

富岡宏太(2017.10)「中古和文の助詞カシ」『日本語の研究』13(4) 要点 よく分からないカシの意味を、中古和文を対象に考える カシに対人性のある例とない例とがあるのはなぜか。 確認や弱めなどをカシが担うのはなぜか。 カシの意味は、事態めあてのモダリ…

大江元貴(2017.12)間投助詞の位置づけの再検討:終助詞との比較を通して

大江元貴(2017.12)「間投助詞の位置づけの再検討:終助詞との比較を通して」 pragmatics.gr.jp 要点 間投助詞と終助詞の違いと、間投助詞の位置付けについて考えたい 近年は終助詞と間投助詞の区別を認めない立場が優勢である 共通性は認識されているが、…