ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

中古

勝又隆(2014.7)古代日本語におけるモノナリ文と連体ナリ文の構造的差異について

勝又隆(2014.7)「古代日本語におけるモノナリ文と連体ナリ文の構造的差異について」『西日本国語国文学』1. 要点 古代語の主節述部におけるモノナリと連体ナリは、以下の特徴を持つ。 Vナリは係り結びと共起しないが(高山2002)、モノナリはNナリ同様共起…

大鹿薫久(2007.4)「連体なり」の性格:源氏物語の文章を通して

大鹿薫久(2007.4)「「連体なり」の性格:源氏物語の文章を通して」加藤昌嘉(編)『講座源氏物語研究 第八巻 源氏物語のことばと表現』おうふう.*1 要点 連体ナリが以下の性質を持つことに基づいて、その意味と、連体ナリの性格について考える ①ナリ∅(ナ…

田島光平(1964.3)連体形承接の「なり」について:竹取物語を中心にして

田島光平(1964.3)「連体形承接の「なり」について:竹取物語を中心にして」『国語学』56. 要点 結論を先に挙げる ① 平安時代初期の連体ナリは、連体形が体言的である場合(いまだ見ぬ(モノ)なり)を除き、根拠をもって相手に説明する場合に用いられる辞…

高山善行(1994.8)〈体言ナリ〉と〈連体ナリ〉の差異について

高山善行(1994.8)「〈体言ナリ〉と〈連体ナリ〉の差異について」『国語語彙史の研究14』和泉書院. 要点 中古のNナリとV連体ナリは、以下の差異を持つ p.234(先にまとめ) 分析 下接語について Vナリは否定と結びつきにくい:ニアリが連体ナリの役割を果た…

近藤泰弘(1989.3)中古語の分裂文について

近藤泰弘(1989.3)「中古語の分裂文について」『日本女子大学紀要 文学部』38(近藤2000「中古語の分裂文」を参照). 要点 中古語の分裂文には、主語がモノ・ヒトとして解釈されるが、これが石垣法則に反するという問題がある [たけきものゝふの心をもなぐ…

ハイコ・ナロック(2004.10)メリ、ベシの過去と「連体ナリ」

ハイコ・ナロック(2004.10)「メリ、ベシの過去と「連体ナリ」」『国語国文』73(10). 要点 北原の連体ナリを基準とした分類に、承接順序がおかしいものがあることに注目して、メリ・ベシと過去の承接について考える メリ・終止ナリ > 連体ナリ かつ キ・ツ…

原まどか(2014.2)推定伝聞「なり」と断定「なり」:終止形と已然形の場合

原まどか(2014.2)「推定伝聞「なり」と断定「なり」:終止形と已然形の場合」『国語研究(国学院大学)』77. 主張 以下の基準で区別できない2種のナリについて考える 終止連体同形の場合の終止形 已然形が助詞を下接する場合 p.37 已然形の場合、 形容詞本…

勝又隆(2021.3)中古散文における「連体形+ゾ」文の用法:ノダ文・連体ナリ文との共通点と相違点

勝又隆(2021.3)「中古散文における「連体形+ゾ」文の用法:ノダ文・連体ナリ文との共通点と相違点」『筑紫語学論叢Ⅲ』風間書房. 要点 ノダ文と連体ナリ文は比較検討されているが、これまで検討されたことのない連体形ゾも含めて考えると、以下の通り ゾが…

伊牟田経久(1976.12)ナムの係り結び

伊牟田経久(1976.12)「ナムの係り結び」『佐伯梅友博士喜寿記念国語学論集』表現社. 要点 ナム・ナモを中心とした係り結びについて、 1 ナムの特徴に、「ナムの場合、ゾの違って、結びが連体修飾語となる場合がある」ことが挙げられる 2 上代のナモは、以…

勝又隆(2022.3)『竹取物語』の地の文におけるゾとナムの係り結びの文章構成上の働きについて

勝又隆(2022.3)「『竹取物語』の地の文におけるゾとナムの係り結びの文章構成上の働きについて」『福岡教育大学国語科研究論集』63. 要点 竹取中のゾ・ナムによる係り結びの役割が、以下の差異を持つことを主張する 「ゾは補足的な解説を挿入し、」 「ナム…

森野崇(1987.12)情報伝達と係助詞:「は」及び「ぞ」「なむ」「こそ」の場合

森野崇(1987.12)「情報伝達と係助詞:「は」及び「ぞ」「なむ」「こそ」の場合」『学術研究 国語・国文学編(早稲田大学教育学部)』36. 要点 情報伝達の側面から、係助詞の機能を考える 旧情報・新情報を以下のように定義しておく 「旧情報」とは、受容主…

森野崇(1987.12)係助詞「なむ」の機能:そのとりたての性質と待遇性をめぐって

森野崇(1987.12)「係助詞「なむ」の機能:そのとりたての性質と待遇性をめぐって」『国語学研究と資料』11. 要点 前稿(1987.6)で示した以下のナムの機能のうち、伝達性については前稿で論じたので、ここでは「とりたて」と待遇性について述べる 「「なむ…

近藤泰弘(1980)構文上より見た係助詞「なむ」:「なむ」と「ぞ――や」との比較

近藤泰弘(1980)「構文上より見た係助詞「なむ」:「なむ」と「ぞ――や」との比較」『国語と国文学』56(12).*1 要点 ナムを中心に係助詞の「強調」の内実について考える 阪倉のナムの「卓立(prominence)の強調」*2という指摘は、以下の3点によって妥当であ…

森野崇(1987.6)係助詞「なむ」の伝達性『源氏物語』の用例から

森野崇(1987.6)「係助詞「なむ」の伝達性『源氏物語』の用例から」『国文学研究』92. 要点 ナムが、「確定的なモノ・コトをとりたて、それを聞き手に対して丁寧に、穏やかにもちかける機能を有する」ことを主張する まず、先学の指摘する伝達性については…

森野崇(1989.12)係助詞「ぞ」についての考察:『源氏物語』の用例から

森野崇(1989.12)「係助詞「ぞ」についての考察:『源氏物語』の用例から」『国語学研究と資料』13. 要点 係助詞ゾが、「表現主体による指定の判断を明示する」助詞であることを主張する どの部分をとりたてるかで、2通りがあり得る 上接する部分をとりたて…

森野崇(1992.3)平安時代における終助詞「ぞ」の機能

森野崇(1992.3)「平安時代における終助詞「ぞ」の機能」『国語学』168. 要点 従来指摘される終助詞ゾの性質2つのうち、 「措定」「指示」「強示」など 聞き手を指向する性質(「教示」も含め) 後者の「聞き手指向性」は、以下の理由により認められない ナ…

山口佳也(2004.3)「連体形+ぞ」の文について:「源氏物語」の用例をもとに

山口佳也(2004.3)「「連体形+ぞ」の文について:「源氏物語」の用例をもとに」『十文字国文』10. 要点 前稿(山口2003)で、連体ナリがノダ文同様以下の4類型に分けられ、いずれも「ある事態Xについて、そのことはとりもなおさずYという事態であるという…

山口佳也(2003.3)「連体なり」の文について:「源氏物語」の用例をもとに

山口佳也(2003.3)「「連体なり」の文について:「源氏物語」の用例をもとに」『十文字国文』9. 要点 源氏の連体ナリ文は、著者がノダ文において主張した、以下の4つのタイプに分類可能である p.2 源氏の例、 Ⅰ:例ならず下り立ちありき給ふは、疎かには思…

高山善行(1999)連体ナリの已然形

高山善行(1999)「連体ナリの已然形」『国語語彙史の研究18』和泉書院. 要点 中古の連体ナリには、連体ナレド・ナレバとしての、已然形として積極的に認められる例が(ほぼ)ない ナレバには、連体ナリと確定できる例がなく、同形ナリ(終止ナリと区別のつ…

大川孔明(2022.3)叙述類型から見た平安鎌倉時代の文学作品の文体類型

大川孔明(2022.3)「叙述類型から見た平安鎌倉時代の文学作品の文体類型」『国語学研究』61. 要点 述語形式を基準として、クラスター分析を用いて、平安鎌倉時代の文学作品に以下の文体類型を得た A:事象叙述型 B:準事象叙述型 C:属性叙述型 D:主観叙述…

大川孔明(2020.9)叙述語から見た平安鎌倉時代の文学作品の文体類型

大川孔明(2020.9)「叙述語から見た平安鎌倉時代の文学作品の文体類型」『計量国語学』32(6). 要点 叙述語(副詞・形状詞・形容詞)を指標とした多変量解析により、平安鎌倉時代の文学作品に、以下の文体類型を得た*1 A 物語日記-和文体型 B 物語日記-漢文…

大川孔明(2020.8)文連接法から見た平安鎌倉時代の文学作品の文体類型

大川孔明(2020.8)「文連接法から見た平安鎌倉時代の文学作品の文体類型」『日本語の研究』16(2). 要点 文連接法(接続詞、指示詞、接続助詞、無形式)を指標としたクラスター分析により、平安鎌倉時代の文学作品に以下の文体類型の位置付けができることを…

金銀珠(2016.10)中古語の名詞修飾節における主語の表示:無助詞と「の」と「が」の相互関係

金銀珠(2016.10)「中古語の名詞修飾節における主語の表示:無助詞と「の」と「が」の相互関係」『日本語の研究』12(4). 要点 中古語の名詞節における主語の表示(髪{ノ・ガ・∅}長き女)は、「構造の大きさ」と「指示」という2つの指標で条件付けられ、各…

辻本桜介(2022.4)中古語の状態性述語を持つ引用構文について

辻本桜介(2022.4)「中古語の状態性述語を持つ引用構文について」『文学・語学』234. 要点 状態性述語をとる引用構文の文法論的位置付けを検討する 杉の御社は、しるしやあらむとをかし。(枕227) 吉田(2017)は体験話法であることに重点を置いたもので、…

吉田光浩(2017.6)中古の引用句を導く感情形容詞述語文と体験話法:『源氏物語』の例を中心に

吉田光浩(2017.6)「中古の引用句を導く感情形容詞述語文と体験話法:『源氏物語』の例を中心に」『文学・語学』219. 要点 中古和文の形容詞述語文に散見される、「心中詞を形容詞が承けて文を終止する例」について検討する 女君、〈いかに聞くらむ〉とはず…

吉田光浩(1996.3)「仮定条件句+うれし」の表現性について

吉田光浩(1996.3)「「仮定条件句+うれし」の表現性について」『大妻国文』27. 要点 中古和文の「仮定条件句+うれし」に、下例(うつほ)の後者のように、「聞き手に一定のリアクションを求めるはたらきかけ」の機能を持つものがあることを述べる いたはら…

近藤要司(2022.3)「活用語カナ」型詠嘆表現の衰退について

近藤要司(2022.3)「「活用語カナ」型詠嘆表現の衰退について」『神戸親和女子大学言語文化研究』16. 要点 活用語+終助詞カナ(活用語カナ)の衰退の要因を以下の点に求める 中古のカナは上代の「~も~かな」を引き継ぎ、話者の内面の情動そのものを述べ…

菊池そのみ(2021.8)古典語における形容詞テ形節の副詞的用法の変遷

菊池そのみ(2021.8)「古典語における形容詞テ形節の副詞的用法の変遷」『国語語彙史の研究40』和泉書院. 要点 標記の問題について、以下2点を考える 通時的概観と、下接する動詞の特徴についての検討 形容詞テ形節の修飾のタイプに基づく各時期の様相の記…

吉田光浩(1990.3)主成分分析法による形容詞の活用分析:「枕草子」を資料として

吉田光浩(1990.3)「主成分分析法による形容詞の活用分析:「枕草子」を資料として」『大妻国文』21. 要点 形容詞の活用形の分布の偏りから、その機能の分布を検討したい 枕草子に出現する形容詞の、各活用形+補助活用の出現率を求めると、以下の相関があ…

安本真弓(2009.3)中古における感情形容詞と感情動詞の対応とその対応要因:中古前期・中期の和文作品を対象として

安本真弓(2009.3)「中古における感情形容詞と感情動詞の対応とその対応要因::中古前期・中期の和文作品を対象として」『国語語彙史の研究28』和泉書院. 要点 中古において、現代語よりも感情形容詞と感情動詞の対応(アサマシ・アサム、オドロカシ・オ…