ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

森野崇(1987.12)係助詞「なむ」の機能:そのとりたての性質と待遇性をめぐって

森野崇(1987.12)「係助詞「なむ」の機能:そのとりたての性質と待遇性をめぐって」『国語学研究と資料』11.

要点

  • 前稿(1987.6)で示した以下のナムの機能のうち、伝達性については前稿で論じたので、ここでは「とりたて」と待遇性について述べる
    • 「「なむ」は確定的なモノ・コトをとりたて、それを聞き手に対して丁寧に、穏やかにもちかげる機能を有する。」
  • ナムのとりたての性質は、以下の特徴から、「表現主体が伝達に際して確信した、確かだと認めた内容の明示を行う。つまり、確定的なモノ・コトをとりたてて示す」ものであると考えられる
    • ①結びの助動詞に「主体的表現」や願望の例が少ない
    • ②トナムの例が少ない…「表現主体が確かだと認めた内容の明示を行う」と考える
    • ③已バナムが多い
    • ④副詞+ナムが、カクナム・サナムに偏る
    • ほか、動詞の結びの多さ、テナムの多さについては措く
  • 本義的ではないが、伝達性からある種の待遇性が生ずる(大野に、「侍り」と同じ役割を持つとする指摘がある)
    • 「事務的な、やや冷たい惑じの発言となるのを防ぎ、円滑に伝達内容を伝えるような丁寧さ・穏やかさといったものが存する」
    • が、敬語に含まれるほどのものではない

雑記

  • 一日に何本も読んでると雑記が一番つまるときがあって、そのために雑記メモを作ったほうがいいか悩む 雑記の雑記*1

*1:雑記の雑記?