森野崇(1987.12)情報伝達と係助詞:「は」及び「ぞ」「なむ」「こそ」の場合
森野崇(1987.12)「情報伝達と係助詞:「は」及び「ぞ」「なむ」「こそ」の場合」『学術研究 国語・国文学編(早稲田大学教育学部)』36.
要点
- 情報伝達の側面から、係助詞の機能を考える
- 旧情報・新情報を以下のように定義しておく
- 「旧情報」とは、受容主体が、その時点で、何についての叙述が行われているのか了解している、あるいは了解できる(と表現主体が想定した)情報である。
- 「新情報」とは、受容主体にとっては、その時点で初めて与えられる(と表現主体が想定した)情報である。
- ハ・ゾ・ナム・コソについては、以下のようにまとめられる
- ハは基本的に旧情報
- ゾは新情報(大野説)
- ナムは以下の例などから見て、新情報(大野説では旧情報)
- いづくにかすむらむ → このわたりになんすみ侍りし(大和)
- コソは、「~こそは」の場合を除いて新情報(大野説は、そもそも誰にとってなのかがよく分からない「旧情報」)
- コソの機能は「排他的なとりたて」にあるが、談話レベルでの旧情報・新情報とは緊密には結びつかないものなのかもしれない
雑記
- あんまり気づかなかったけど、この頃って結構情報構造ブームだったのかな