近藤泰弘(1989.3)中古語の分裂文について
近藤泰弘(1989.3)「中古語の分裂文について」『日本女子大学紀要 文学部』38(近藤2000「中古語の分裂文」を参照).
要点
- 中古語の分裂文には、主語がモノ・ヒトとして解釈されるが、これが石垣法則に反するという問題がある
- [たけきものゝふの心をもなぐさむる]は歌なりけり。(古今・仮名序)
- 石垣法則は、同一名詞・形状性準体の場合には状態性述語(状態+)しか取らない/同格・作用性準体の場合にはどちらも取る という制約であるので、「なぐさむる」(状態-)なのはおかしい
- このことは、現代語の分裂文について、同一名詞準体(奥津説)ではなく、同格準体説(中右説)を採用し、それを中古語に援用することで解決される
- 中古語の分裂文において、分裂文主語につく助詞は係助詞ハ・ヤのみで、モを承けない点も含めてやはり現代語に近い性質を持つ*1
雑記
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*1:承ける助詞が現代と中古で似ている→他の性質も同じ、と言ってしまってよいのかちょっと分からない