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言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

近代

上野隆久(2005.6)江戸後期から明治期における「~からのコトだ」と「~からだ」:『春色英対暖語』と『三四郎』を資料として

上野隆久(2005.6)「江戸後期から明治期における「~からのコトだ」と「~からだ」:『春色英対暖語』と『三四郎』を資料として」『日本近代語研究4』ひつじ書房 要点 接続助詞カラには、後件で原因・理由を述べ、「からだ」で締めくくる用法があるが、江戸…

村上謙(2012.3)明治期関西弁におけるヘンの成立について:成立要因を中心に再検討する

村上謙(2012.3)「明治期関西弁におけるヘンの成立について:成立要因を中心に再検討する」『近代語研究』21 要点 否定辞ヘンの成立にはハセヌ→ャセヌ→ャセン→ャヘン→ヘンが想定されるが、以下の4点の問題がある 成立要因が問われていない そもそも音変化説…

橋本行洋(2001.2)カス型動詞の一展開:ワラカスの成立からワラケルの派生へ

橋本行洋(2001.2)「カス型動詞の一展開:ワラカスの成立からワラケルの派生へ」『語文』75-76 要点 標記の問題について、成立・派生と現代語の語彙体系の位置付けを考える ワラカスについて、 江戸末期江戸語~明治初期東京語から見られ始め、近年ではむし…

原口裕(1971.3)「ノデ」の定着

原口裕(1971.3)「「ノデ」の定着」『静岡女子大学研究紀要』4 要点 幕末までのノデは用例が少なく、デと併存する 初例は軽口御前男(元禄16[1703])、「格助詞デが準体助詞ノに接続する」用法 江戸川柳には比較的例が多く、明和・安永頃にようやくまとま…

吉井量人(1977.9)近代東京語因果関係表現の通時的考察:「から」と「ので」を中心として

吉井量人(1977.9)「近代東京語因果関係表現の通時的考察:「から」と「ので」を中心として」『国語学』110 要点 江戸語・東京語のノデ・カラについて考える 全体的な調査、 カラが会話文に使われ始めるのは1700年頃からで、1760年頃から中心形式に 1800年…

矢島正浩(2020.3)近現代共通語における逆接確定節: 運用法の変化を促すもの

矢島正浩(2020.3)「近現代共通語における逆接確定節: 運用法の変化を促すもの」『国語国文学報』78 要点 ガが書き言葉に多用され、ケレドは話し言葉で伸長という歴史記述ではなく、「ガ・ケレドには、他の接続辞にはない固有の共存原理が働いている」とい…

常盤智子(2018.4)幕末明治期における日英対訳会話書の日本語:数量の多さを表す句との対応から

常盤智子(2018.4)「幕末明治期における日英対訳会話書の日本語:数量の多さを表す句との対応から」『日本語の研究』14(2) 要点 翻訳から生じたとされる「Nの多く」に注目し、... of N がどのような日本語と対応しているかを調査する We had trusted many o…

田中章夫(2010.10)否定条件句「(行か)ないで、~」と「(行か)ずに、~」

田中章夫(2010.10)「否定条件句「(行か)ないで、~」と「(行か)ずに、~」」『近代語研究』15 要点 江戸語・東京語における否定のズニ・ナイデの周辺について考える ナイデは雑兵(1657-83頃)に既に見られ、現代の東京語に受け継がれる ナクテに可換…

鈴木英夫(1985.5)「ヲ+自動詞」の消長について

鈴木英夫(1985.5)「「ヲ+自動詞」の消長について」『国語と国文学』62(5) 前提 「腹を立つ」の疑問から出発して、 ヲ+自動詞の消長について考える ヲ+自動詞 Ⅰ「太郎が川を渡る」類には消長はない 自動詞の移動動詞がヲ格を取る場合、自動詞主語が他動…

山口響史(2019.3)チョウダイにおける行為指示用法の成立

山口響史(2019.3)「チョウダイにおける行為指示用法の成立」『愛知淑徳大学論集 文学部編』44 前提 チョウダイの以下の意味変化と、授受表現史の中での位置付けについて考えたい 上に掲げる 受け取る(頂戴する) 行為指示(お菓子頂戴) 補助動詞による行…

島田泰子(1995.3)接尾辞タラシイの成立

島田泰子(1995.3)「接尾辞タラシイの成立」『国語学』180 要点 タラシイは当初非独立的要素を取り、後に独立的要素を取るようになる タラシイの成立にはタラタラの関与が考えられる タラシイの一群と意味 タラシイの語例は以下の通りで、 1-3までは非独立…

田中牧郎(2015.5)明治後期から大正期に基本語化する語彙

田中牧郎(2015.5)「明治後期から大正期に基本語化する語彙」斎藤倫明・石井正彦編『日本語語彙へのアプローチ―形態・統語・計量・歴史・対照―』おうふう 要点 明治後期から大正期にかけて基本語化する語彙には以下の3類がある 口語性の強い語 新概念を表す…

田中牧郎(2015.4)近代新漢語の基本語化における既存語との関係:雑誌コーパスによる「拡大」「援助」の事例研究

田中牧郎(2015.4)「近代新漢語の基本語化における既存語との関係:雑誌コーパスによる「拡大」「援助」の事例研究」『日本語の研究』11(2) 要点 雑誌コーパスの頻度の調査により、漢語の基本語化を捉える 拡大・援助の基本語化は既存語との類似性を高める…

竹内史郎(2011.11)近代語のアスペクト表現についての一考察:ツツアルを中心に

竹内史郎(2011.11)「近代語のアスペクト表現についての一考察:ツツアルを中心に」青木博史編『日本語文法の歴史と変化』くろしお出版 要点 ツツアルの歴史と意味変化を、ヨル・トルとの共通性に基づいて体系的に見つつ、 共通語による文法史研究の有用性…

梁井久江(2009.6)「役割語」としての〜チマウの成立

梁井久江(2009.6)「「役割語」としての〜チマウの成立」『都大論究』46 問題 チマウは後発のチャウの使用拡大により現代ではほぼ用いられないが、シナリオではなお用いられる 困ろうが何しようが、とにかく、クーはお前を母親と思い込んじまってんだ、いや…

梁井久江(2009.1)テシマウ相当形式の意味機能拡張

梁井久江(2009.1)「テシマウ相当形式の意味機能拡張」『日本語の研究』5-1 要点 テシマウのアスペクト意味内での拡張と、評価的意味への意味拡張について 問題 テシマウが持つアスペクト的意味(広義の完了) 完遂:おやつを食べてしまってからにしなさい …

川島拓馬(2018.1)近世・近代における「つもりだ」の用法変遷

川島拓馬(2018.1)「近世・近代における「つもりだ」の用法変遷」『筑波日本語研究』22 要点 つもりだの用法展開について 意志専用形式でなくなっていくことの指摘と、 新たな否定形式「つもりはない」の成立 川島(2018)とセット hjl.hatenablog.com 問題…

橋本行洋(2015.3)「ぽち」とその周辺語 :〈心付け・祝儀〉を示すことば

橋本行洋(2015.3)「「ぽち」とその周辺語 :〈心付け・祝儀〉を示すことば」『日本文芸研究』66-2 要点 「ポチ袋」の「ぽち」の成立・由来や、その周辺の「心付け・祝儀」の意を示す語彙について 「ぽち」 上方周辺において、心付け・祝儀の意で「ぽち」が…

斎藤文俊(2018.11)明治初期における聖書の翻訳と日本語意識:漢文訓読語法「欲ス」を例に

斎藤文俊(2018.11)「明治初期における聖書の翻訳と日本語意識:漢文訓読語法「欲ス」を例に」沖森卓也編『歴史言語学の射程』三省堂 要点 聖書翻訳において、漢訳聖書の「欲す」が他本でどのように現れるかを見ることで、その文体選択のあり方を見る 聖書…

宮内佐夜香(2007.10)江戸語・明治期東京語における接続助詞ケレド類の特徴と変化:ガと対比して

宮内佐夜香(2007.10)「江戸語・明治期東京語における接続助詞ケレド類の特徴と変化:ガと対比して」『日本語の研究』3-4 問題 逆接確定条件について、現代語はケレドが多いが、江戸語ではガが目立つ 江戸語にはケドが確認されないなどの時代的差異もある …

渡辺由貴(2007.3)「と思う」による文末表現の展開

渡辺由貴(2007.3)「「と思う」による文末表現の展開」『早稲田日本語研究』16 要点 タイトルそのまま、モダリティ形式史として 渡辺(2015)の前提 hjl.hatenablog.com 「と思う」 文末、終止形、非過去という条件で用いられる、助動詞的な「と思う」 明日…

新野直哉(2012.3)昭和10年代の国語学・国語教育・日本語教育専門誌に見られる言語規範意識 :副詞”とても”・「ら抜き言葉」などについて

新野直哉(2012.3)「昭和10年代の国語学・国語教育・日本語教育専門誌に見られる言語規範意識:副詞”とても”・「ら抜き言葉」などについて」『言語文化研究(静岡県立大学短期大学)』11 要点 タイトルまんま、専門誌の論文における言語意識の記述について …

田中章夫(1965)近代語成立過程に見られるいわゆる分析的傾向について

田中章夫(1965)「近代語成立過程に見られるいわゆる分析的傾向について」『近代語研究』1 要点 広義近代語への変化の過程として、整理・分散・単純による「分析的傾向」の存することを指摘する 分析的傾向 古代語の推量に関係する助動詞を見ると、 花咲か…

宮内佐夜香(2013.10)近世後期江戸語における逆接表現旧形式「ド」「ドモ」について

宮内佐夜香(2013.10)「近世後期江戸語における逆接表現旧形式「ド」「ドモ」について」『近代語研究』17 要点 近世~近代にかけて衰退したド・ドモが、衰退期にどのようにガ・ケレド・ケレドモと共存しているか 接続形式など、環境は限定的で、文語的位相…

青木博史(2010.6)近代語における「断り」表現:対人配慮の観点から

青木博史(2010.6)「近代語における「断り」表現:対人配慮の観点から」『語文研究』108・109 要点 広義の近代語(中世後期~昭和前期)を対象として、「断り」の歴史上の変化を見る 断り表現の要素に「詫び」「理由説明」「断りの述部」(尾崎モデル)を設…

川瀬卓(2018.5)前置き表現から見た行為指示における配慮の歴史 ほか

川瀬卓(2018.5)「前置き表現から見た行為指示における配慮の歴史」高田博行・小野寺典子・青木博史『歴史語用論の方法』ひつじ書房 要点 行為指示場面における、定型的前置き表現 すみませんが、この書類に署名をお願いします。(恐縮・謝罪) お菓子を作…

矢田勉(2014.7)近世・近代間における口頭語の表記体選択意識の変化

矢田勉(2014.7)「近世・近代間における口頭語の表記体選択意識の変化」『国語文字史の研究』14 要点 平仮名・片仮名併存の問題に関して、傾向とその基盤となる表記意識の解明を目標として、特に、近世・近代における表記体選択のあり方を、「口頭語性」(≠…

藏本真由(2018.3)前接要素・形態的特徴からみる「気がする」の意味変化

藏本真由(2018.3)「前接要素・形態的特徴からみる「気がする」の意味変化」『国語語彙史の研究』37 要点 現代にかけて、「気がする」に意味変化が起こっていることの指摘 ただ其当時に立ち戻りたい様な気もした(漱石・思ひ出す事など) この間より、ちょ…

田中章夫(1998.10)標準語法の性格

田中章夫(1998.10)「標準語法の性格」『日本語科学』4 要点 文法形式の標準語らしさ・方言らしさを以下の3タイプに類型化し、 累加型・段階型 単能型・多能型 微差消滅型・微差保有型 これらがどのような歴史的経緯の所産であるかについても述べる 対照さ…

永澤済(2007.10)漢語動詞の自他体系の近代から現代への変化

永澤済(2007.10)「漢語動詞の自他体系の近代から現代への変化」『日本語の研究』3-4 doi.org 要点 近代から現代にかけての、漢語動詞の自他について、自他両用から自動詞専用・他動詞専用 近代の漢語動詞の自他 (現代ではそうではないが、)近代において…