ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

文字・表記史

菅原範夫(1989.3)キリシタン版ローマ字資料の表記とよみ:ローマ字翻字者との関係から

菅原範夫(1989.3)「キリシタン版ローマ字資料の表記とよみ:ローマ字翻字者との関係から」『国語学』156 要点 ローマ字本キリシタン資料の誤字や翻字の偏りを手がかりに、以下の2点を指摘 ローマ字本は翻訳者と翻字者の手を経たものであり、 翻字者は複数…

佐藤嘉惟(2018.6)世阿弥自筆能本の表音的表記:表記の揺れと執筆過程

佐藤嘉惟(2018.6)「世阿弥自筆能本の表音的表記:表記の揺れと執筆過程」『能と狂言』16 要点 表音的とされてきた世阿弥能本に非表音的箇所があることを指摘し、 その表記揺れの生まれる過程に書写行為があったことを想定 研究史 能本への注目は、日本語史…

矢田勉(2014.7)近世・近代間における口頭語の表記体選択意識の変化

矢田勉(2014.7)「近世・近代間における口頭語の表記体選択意識の変化」『国語文字史の研究』14 要点 平仮名・片仮名併存の問題に関して、傾向とその基盤となる表記意識の解明を目標として、特に、近世・近代における表記体選択のあり方を、「口頭語性」(≠…

小笠原一(1992.3)「七夕」考 用字を中心に 織女から七夕へ

小笠原一(1992.3)「「七夕」考 用字を中心に 織女から七夕へ」『学芸国語国文学』24 要点 なぜ「たなばた」を「七夕」と表記するか、について、その表記の実態を歴史的に見るもの 賀茂真淵『古今和歌集打聴』にある記述 たなばたと云に七夕の二字を書はあ…