高宮幸乃(2005.6)格助詞を伴わないカの間接疑問文について
高宮幸乃(2005.6)「格助詞を伴わないカの間接疑問文について」『三重大学日本語学文学』16
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要点
ヤラより後発的なカの間接疑問文のうち、格助詞を伴わないものについて
- 私は何人がパーティーに出席したのか覚えていない
歴史的に
- 室町頃から用いられる
- 上に産んだか下に産んだか存ぜぬ。(エソポ)
構文的な分類
- 間接疑問のタイプから見ると
主節述語による分類
- 主節述語のタイプから見ると
- 室町・江戸では未決・対処のみで、既決が現れない
- 未決:何が起こるか分からなかった
- 対処:どうしたらいいか考えた
- 既決:何が起こるのか分かっていた
- 室町・江戸では未決・対処のみで、既決が現れない
文型による分類
- 文型から見ると
- 室町、江戸ではQV型に限られ、SQV、QSVが見られない
- (S)私は(Q)何人がパーティーに出席したのか(V)覚えていない
- (Q)何人がパーティーに出席したのか(S)私は(V)覚えていない
- (Q)何人がパーティーに出席したのか(V)覚えていない
- 独立性がある程度高いと位置付けられる
- 室町、江戸ではQV型に限られ、SQV、QSVが見られない
成立前史として、
- 注3(p.25)が注目される
間接疑問文以前は、次のような間接疑問文に似た表現が用いられたと考えられる。
和文資料では、引用のト(モ)、注釈句による表現となる。
訓点資料では、トイウコトヲという形を用いる表現となる。
和漢混清文ではト(モ)、トイウ名詞ヲ、注釈句を用いる表現となる。
気になること
- 一人称主語が顕在化しないのは間接疑問に限った話ではないので、QV→SQV/QV→QSVという見方にはまだ検討の余地があるか