山田巌・木村晟(1976.2)『本則抄』について
山田巌・木村晟(1976.2)「『本則抄』について」『駒沢国文』13
要点
- 駒沢大本『本則抄』の言語的特徴について
本則抄
- 禅林類聚からの抽出・加注の東国抄物
- 講述者は「春夕」、「春積」とあり、
- 位作山陽林寺二世の盛南舜奭(-1541)か、
- 梅龍山東竹院四世の雪庭春積(-1627)のいずれか
国語資料としての本則抄
- ナリ体の抄物だが、主観的表出による「…ゾトナリ」が多く、口頭語的要素の強いナリ体抄物と言える
- 否定は連用ズ、終止がヌ、連体がザルで、ナンダはない
- ダ系カナ抄に見られるゴラウゼイ、シ、サシ、シマイ、サシマイなどの命令表現はほぼない -形容詞連用形は原形維持が優勢
- 条件表現について、
- ダ系カナ抄に多い条件句ウニハが、タラウニハ、ナラウニハの形で頻出する
- 巨海代抄・大淵代抄に比してナラウニハの比率が高い
- ウニハより後出のタラバ・ナラバはナラバが優勢で、ダ系カナ抄に近い性質
- トコロデ(関西系より東国系に豊富)もやはり例が認められ、接続詞の例(~也トコロデ)もある
- ホドニもまた、也ホドニ、ゾホドニ、ダホドニなどの例がある
- ダ系カナ抄に多い条件句ウニハが、タラウニハ、ナラウニハの形で頻出する
- 四つ仮名はほぼ正用だが、開合の誤用例は多い
- 特にサウ→ソウ
- 東国系の接頭辞が本抄には少なく、ヲツ(ツルム)、ヒツ(キル)しかない
- 例えば大淵代抄にはヲン、ツン、ヒン、フン、ウツ、ヲツ、ツツ、ヒツなどがある
- 東国系抄物の特徴である副詞の促音形(カラリツト、キラリツト)も、それほどは多くない
- 当て字の例も少ない
- 院政鎌倉期以来の表記・表現法の特徴を伝える例に、
- …ツ…ツ
- 体言+如キノ
- バシ
- コソ…ヨ
- o,uの交替(カズエル)
- 他、傍訓、捨て仮名、訓注の一覧を載せる
雑記
- これやりたい