ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

李淑姫(2005.5)中世日本語の因由形式ニヨッテの階層

李淑姫(2005.5)「中世日本語の因由形式ニヨッテの階層」『日本學報』63

要点

  • 李(1998)では虎明本の因由形式の階層を以下のように記述したが、ニヨッテとトコロデはその前後で異なる特徴を見せる
    • ホドニ・トコロデ・アイダはC類、已バ・ニヨリテ・ニヨッテ・ユヘニはB類
  • ニヨッテとホドニの包含関係を見ると、
    • 抄物では相互的な包含関係にあり、(ニヨッテ~ホドニ/ホドニ~ニヨッテ)
    • キリシタン資料・虎明本では、ニヨッテ~ホドニはなく、ホドニ~ニヨッテのみ
    • 虎寛本では、ニヨッテ~ホドニが多く、ホドニ~ニヨッテが少数
  • 抄物の場合、
    • 論語抄にベキニヨッテの例があるが、論語抄以降の抄物にはない
    • 不変化助動詞ホドニの例があり、ホドニはC類に分類できる
    • トコロデはC類か
  • キリシタンと虎明本の場合、
    • 推量ニヨッテの例はないが、帰結に推量・命令のくる例がある(「B類ではあるが、C類的性質をもっている」)
    • ホドニ・トコロデはC類である
  • 虎寛本では、推量ニヨッテがあり(ただし浄瑠璃などにはない)、ウホドニもある
  • 以上より、ニヨッテはC類からB類へと変化し、またB類からC類へと変化したことになる*1

雑記

  • アル中なりそうで怖~~

*1:記述としてはそうなるのかもしれないけど、その捉え方でいいのかな?