ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

条件表現

田中重太郎(1966)逆接仮定条件を示す接続助詞「と」の用例について

田中重太郎(1966)「逆接仮定条件を示す接続助詞「と」の用例について」『明日香』31(9) 要点 平安朝文法史のト・トモの項に、以下の例が引かれている さはれさまでなくと、いひそめてむことはとて、(枕) あいきやうなくと、ことばしなめきなどいへば、(…

江原由美子(2019.3)逆接仮定を表す接続助詞トモとトをめぐって

江原由美子(2019.3)「逆接仮定を表す接続助詞トモとトをめぐって」『岡大国文論稿』47 要点 トモ・トの歴史について考える 現代語では生産的でないが、かつては主要形式であったこと モの有無と、トの使用が中世末期以降に増えること ドモ・ドからの類推説…

江原由美子(2002.11)トモによる逆接条件表現

江原由美子(2002.11)「トモによる逆接条件表現」『岡山大学大学院文化科学研究科紀要』14 要点 逆接仮定条件のトモが事実を述べる場合に用いられることがある(大わだ淀むとも) このいわゆる「修辞的仮定」が何なのかを考えるために、トモの現象面を明ら…

衣畑智秀(2004.12)古代語・現代語の「逆接」:古代語のトモ・ドモによる意味対立を中心に

衣畑智秀(2004.12)「古代語・現代語の「逆接」:古代語のトモ・ドモによる意味対立を中心に」『語文』83 要点 古代語で、トモは仮定条件、ドモは恒常条件と確定条件を表し、現代語で、テモは仮定条件・恒常条件、ケドは確定条件を表す。このことについて考…

衣畑智秀(2005.4)日本語の「逆接」の接続助詞について:情報の質と処理単位を軸に

衣畑智秀(2005.4)「日本語の「逆接」の接続助詞について:情報の質と処理単位を軸に」『日本語科学』17 要点 ノニ・ケド・テモを適切に記述するための枠組みを考えたい 従来説はノニの「予想」とケド・テモの「予想」の差異を説明し得ない 以下の概念を導…

衣畑智秀(2001.12)いわゆる「逆接」を表すノニについて:語用論的意味の語彙化

衣畑智秀(2001.12)「いわゆる「逆接」を表すノニについて:語用論的意味の語彙化」『待兼山論叢 文学篇』35 要点 ノニとケドの差異2点に対する説明は「逆接」のカテゴリーでは十分に行えない 違和感・意外感 後件が既実現:雪が降っている{けど/*のに}…

上野隆久(2005.6)江戸後期から明治期における「~からのコトだ」と「~からだ」:『春色英対暖語』と『三四郎』を資料として

上野隆久(2005.6)「江戸後期から明治期における「~からのコトだ」と「~からだ」:『春色英対暖語』と『三四郎』を資料として」『日本近代語研究4』ひつじ書房 要点 接続助詞カラには、後件で原因・理由を述べ、「からだ」で締めくくる用法があるが、江戸…

宮内佐夜香(2016.12)逆接確定条件表現形式の推移についての一考察:中世後期から近世にかけて

宮内佐夜香(2016.12)「逆接確定条件表現形式の推移についての一考察:中世後期から近世にかけて」青木博史・小柳智ー・高山善行(編)『日本語文法史研究3』ひつじ書房 要点 ドモ・ドからガ、ケレドモ・ケレドへの移行について考える ドモ→ケレドモの過程…

宮内佐夜香(2015.3)近世後期における逆接の接続助詞について:上方語・江戸語の対照

宮内佐夜香(2015.3)「近世後期における逆接の接続助詞について:上方語・江戸語の対照」『中京大学文学会論叢』1 要点 宮内(2007, 2013)を踏まえつつ、近世後期江戸語のドモ・ケレドモ・ガについて、特に、あまり考えられてこなかった上方の精査と、東西…

森山卓郎(2013.6)因果関係の複文と意志的制御

森山卓郎(2013.6)「因果関係の複文と意志的制御」『国文学研究』170 要点 因果が成り立っていても不自然な場合があることを手がかりに、因果関係と意志の関係について考える 1 *私は、砂糖を減らした{ので・から}クッキーをあっさりと仕上げた。 2 私は…

小田勝(1996.10)連体形接続法:源氏物語を資料として

小田勝(1996.10)「連体形接続法:源氏物語を資料として」『国学院雑誌』97(10) 要点 文中の連体形が接続句として解釈される例について考える 内裏にもさる御心まうけどもある[=のに]、[コノ月モ]つれなくてたちぬ。(例は全て源氏) 連体修飾語や準体…

青木博史(2017.11)「のなら」の成立:条件節における準体助詞

青木博史(2017.11)「「のなら」の成立:条件節における準体助詞」有田節子(編)『日本語条件文の諸相:地理的変異と歴史的変遷』くろしお出版 要点 ノナラについて、以下のことを考える 歴史的経緯 出張するなら/出張するのなら が意味的に同一であるこ…

原口裕(1971.3)「ノデ」の定着

原口裕(1971.3)「「ノデ」の定着」『静岡女子大学研究紀要』4 要点 幕末までのノデは用例が少なく、デと併存する 初例は軽口御前男(元禄16[1703])、「格助詞デが準体助詞ノに接続する」用法 江戸川柳には比較的例が多く、明和・安永頃にようやくまとま…

吉井量人(1977.9)近代東京語因果関係表現の通時的考察:「から」と「ので」を中心として

吉井量人(1977.9)「近代東京語因果関係表現の通時的考察:「から」と「ので」を中心として」『国語学』110 要点 江戸語・東京語のノデ・カラについて考える 全体的な調査、 カラが会話文に使われ始めるのは1700年頃からで、1760年頃から中心形式に 1800年…

矢島正浩(2020.3)近現代共通語における逆接確定節: 運用法の変化を促すもの

矢島正浩(2020.3)「近現代共通語における逆接確定節: 運用法の変化を促すもの」『国語国文学報』78 要点 ガが書き言葉に多用され、ケレドは話し言葉で伸長という歴史記述ではなく、「ガ・ケレドには、他の接続辞にはない固有の共存原理が働いている」とい…

李淑姫(2005.5)中世日本語の因由形式ニヨッテの階層

李淑姫(2005.5)「中世日本語の因由形式ニヨッテの階層」『日本學報』63 要点 李(1998)では虎明本の因由形式の階層を以下のように記述したが、ニヨッテとトコロデはその前後で異なる特徴を見せる ホドニ・トコロデ・アイダはC類、已バ・ニヨリテ・ニヨッ…

中野伸彦(2001.12)江戸語の「~ばいい」

中野伸彦(2001.12)「江戸語の「~ばいい」」『山口大学教育学部研究論叢 1 人文科学・社会科学』51 要点 バイイを以下の2つに分けて考える ~ばそれですむ a ~という手立て・事態の成立によって可能である:犯人は内側から鍵をかければよかった b ~とい…

李淑姫(2004.3)中世日本語の原因・理由を表す接続形式の階層構造:抄物資料を中心に

李淑姫(2004.3)「中世日本語の原因・理由を表す接続形式の階層構造:抄物資料を中心に」『日本學報』58 要点 小林千草(1973)の中世末のホドニとニヨッテの指摘は、現代語のカラ・ノデと並行する ウ・ヨウ・マイが上接可能かどうか/後件に推量・意志・命…

川島拓馬(2019.4)逆接形式「くせに」の成立と展開

川島拓馬(2019.4)「逆接形式「くせに」の成立と展開」『国語国文』88(4) 要点 クセニの成立・変遷過程と、特にクセニが非難・不満を表すことについて考えたい 名詞クセは中古からあり、クセ+ニは抄物に例がある このクセニは「順接的」ではあるが、接続の…

三原千世(1983.12)「ことならば」を条件とする文の意味について

三原千世(1983.12)「「ことならば」を条件とする文の意味について」『女子大国文』94 要点 上代では「こと放けば」「こと降らば」のように動詞を伴う条件句が、中古になって「ことならば」になったと考えられる 「ことならば」はすべて1 「現実の事態」を…

宮内佐夜香(2007.6)近世後期における情意的逆接表現の実態:ノニ・モノヲの用法の差異について

宮内佐夜香(2007.6)「近世後期における情意的逆接表現の実態:ノニ・モノヲの用法の差異について」『都大論究』44 要点 近世後期の不満・非難を表す逆接確定条件表現「情意的逆接表現」の様相と差異、通時的変化について考える 洒落本~人情本の例は以下の…

宮内佐夜香(2003.4)江戸後期から明治初期における接続助詞ニ・ノニの消長

宮内佐夜香(2003.4)「江戸後期から明治初期における接続助詞ニ・ノニの消長」『日本語研究(都立大)』23 要点 ニ・ノニの仕様比率(消長)と、意味用法の変化について考える ノニの成立は準体助詞ノと関わる 明和以降洒落本において、ノは極めて少なく、…

高瀬正一(1992.3)『古今集遠鏡』における「已然形+ば」の訳出について

高瀬正一(1992.3)「『古今集遠鏡』における「已然形+ば」の訳出について」『国語国文学報(愛知教育大学)』50 要点 遠鏡において已バがどのように訳出されているかを明らかにしたい 近代語への変遷の過程で、已バは仮定条件を表すようになっており、 確…

山口堯二(1980.3)「て」「つつ」「ながら」考

山口堯二(1980.3)「「て」「つつ」「ながら」考」『国語国文』49(3) 前提 古代語のテ・ツツ・ナガラを、その前句・後句の関係性から考える テ テの基本的な意味は並列性 「二つ(以上)の事態がただ空間的または時間的に並列されているという関係」で、継…

Seongha, Rhee, 2012.5. Context-induced reinterpretation and (inter)subjectification: the case of grammaticalization of sentence-final particles

Seongha, Rhee. 2012.5. Context-induced reinterpretation and (inter)subjectification: the case of grammaticalization of sentence-final particles. Language Sciences 34(3), 284-300. (コンテクストが誘発する再解釈と(間)主観化:終助詞の文法化…

三原裕子(2016.2)後期咄本に現れる原因・理由を表す条件句

三原裕子(2016.2)「後期咄本に現れる原因・理由を表す条件句」『(アクセント史資料研究会)論集』11 前提 明和以降の後期咄本について、以下の問題を考えたい ホドニ・ニヨッテ・サカイの衰退と カラの隆盛・ノデの抬頭 全体的な推移 江戸板では、 上方語…

西田絢子(1978.4)「けれども」考:その発生から確立まで

西田絢子(1978.4)「「けれども」考:その発生から確立まで」『東京成徳短期大学紀要』11 要点 ケレドモの歴史は以下の4期に分けられる 室町後期:マイ・ウに下接 江戸初期:タイ・タ、形容詞・動詞などに下接 江戸中期:すべての活用語に下接可能に 江戸後…

清水登(1988.12)抄物における「ゾナレバ」の用法について

清水登(1988.12)「抄物における「ゾナレバ」の用法について」『長野県短期大学紀要』43 要点 抄物に特徴的なゾナレバは連語として見なすべきではなく、疑問文ト云ヘバと可換 前提 鈴木博はゾナレバを「接的接続詞」として扱い、「…か?そのわけは…」「…か…

清水真澄(2014.2)『万葉集』における接続表現:「なへ(に)」の機能と意味関係

清水真澄(2014.2)「『万葉集』における接続表現:「なへ(に)」の機能と意味関係」『中央大学大学院 大学院研究年報 文学研究科篇』43 要点 上代のナヘ(ニ)は、同時並行を表すものではなく、継時的な関係性を表現者の中で関連付ける表現であり、 前件の…

松尾弘徳(2008.3)因由形式間の包含関係から見た天理図書館蔵『狂言六義』

松尾弘徳(2008.3)「因由形式間の包含関係から見た天理図書館蔵『狂言六義』」『文献探究』46 要点 天理本の因由形式の包含関係は中世末のそれと、天理本の内部変異を反映する 前提 李(1998)の観点に基づき、天理本における因由形式の包含関係を調べたい …