ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

条件表現

岩間智昭(2022.2)近世口語資料としての近世中期勧化本試論:菅原智洞作『浄土勧化文選』を対象に

岩間智昭(2022.2)「近世口語資料としての近世中期勧化本試論:菅原智洞作『浄土勧化文選』を対象に」『国文学論叢』67. 要点 以下の3点の分析より、『浄土勧化文選』(宝暦11[1761]刊)が、「「非中立的」な表現を内包する」資料であり、文語性の高い資…

矢毛達之(1999.12)中世前期における「文相当句+ナレバ・ナレド(モ)」形式

矢毛達之(1999.12)「中世前期における「文相当句+ナレバ・ナレド(モ)」形式」『語文研究』88. 要点 中世前期特有の語法に、「文相当句+ナレバ・ナレドモ」があり、 この盃をば先少将にとらせたけれども、親より先にはよものみ給はじなれば、重盛まつ取…

吉田光浩(1996.3)「仮定条件句+うれし」の表現性について

吉田光浩(1996.3)「「仮定条件句+うれし」の表現性について」『大妻国文』27. 要点 中古和文の「仮定条件句+うれし」に、下例(うつほ)の後者のように、「聞き手に一定のリアクションを求めるはたらきかけ」の機能を持つものがあることを述べる いたはら…

櫻井真美(2002.11)山形市方言の条件表現形式「ドギ」

櫻井真美(2002.11)「山形市方言の条件表現形式「ドギ」」『言語科学論集』6. http://hdl.handle.net/10097/30744 要点 山形市方言のドギ(時)は、仮説的用法を持つ 疲れているトキ、もう寝なさい。(1)/ツカレッタドギ、モウネロー。(1)' 本来のドギ…

吉田茂晃(2007.2)〈カラ〉と〈ノデ〉に関するノート

吉田茂晃(2007.2)「〈カラ〉と〈ノデ〉に関するノート」『山邊道』50 要点 永野の「カラ=主観/ノデ=客観」という図式を離れて、カラが原因理由全体、ノデに使用制限のあるということの解釈を行いたい カラが可能でノデが不可能な以下の用法は全て上の図…

仁科明(2006.3)「恒常」と「一般」:日本語条件表現における

仁科明(2006.3)「「恒常」と「一般」:日本語条件表現における」『国際関係・比較文化研究』4(2) 要点 厳密に議論されてこなかった「恒常条件」「一般条件」の定義について考える 先行研究における定義はそれほどはっきりしないが、「結び付けられる二つの…

近藤泰弘(2005.11)平安時代語の副詞節の節連鎖構造について

近藤泰弘(2005.11)「平安時代語の副詞節の節連鎖構造について」『国語と国文学』82(11) 要点 現代語の書き言葉とは異なる、古典語の副詞節の問題について考える 古典語は従属節が連続する傾向があるが、特に副詞節は連続する傾向が強い 行く先多く、夜も更…

小田佐智子(2016.3)岐阜方言の原因・理由に表れるモンデ

小田佐智子(2016.3)「岐阜方言の原因・理由に表れるモンデ」『阪大社会言語学研究ノート』14 要点 岐阜のモンデの形式的・意味的特徴の記述、 形式的特徴、 デ・モンデのいずれも終止形接続(あるデ/モンデ)だが、モンデは連体形接続(簡単なモンデ)も…

鈴木泰(2017.11)古典日本語における認識的条件文

鈴木泰(2017.11)「古典日本語における認識的条件文」有田節子(編)『日本語条件文の諸相:地理的変異と歴史的変遷』くろしお出版 要点 認識的条件文の前件の以下の3分類に基づき、今昔の条件文を概観する A 発話時の時点で成立・非成立が決定している(昨…

奥村彰悟(1997.8)「ないければ」から「なければ」へ:一九世紀における打消の助動詞「ない」の仮定形

奥村彰悟(1997.8)「「ないければ」から「なければ」へ:一九世紀における打消の助動詞「ない」の仮定形」『日本語と日本文学 』25 要点 ナイケレバが18C後半から19C前半にかけて見られることは知られているが、ナケレバの変化については明らかになっていな…

奥村彰悟(1996.8)江戸語における「ないければ」:洒落本における打消の助動詞を用いた条件表現

奥村彰悟(1996.8)「江戸語における「ないければ」:洒落本における打消の助動詞を用いた条件表現」『筑波日本語研究』1 要点 江戸語のナイケレバをネバ・ズハと比較して考える 使用傾向として、 明和期は、打消にはヌ・ズとナイが並用され、ナイの勢力は極…

田中重太郎(1966)逆接仮定条件を示す接続助詞「と」の用例について

田中重太郎(1966)「逆接仮定条件を示す接続助詞「と」の用例について」『明日香』31(9) 要点 平安朝文法史のト・トモの項に、以下の例が引かれている さはれさまでなくと、いひそめてむことはとて、(枕) あいきやうなくと、ことばしなめきなどいへば、(…

江原由美子(2019.3)逆接仮定を表す接続助詞トモとトをめぐって

江原由美子(2019.3)「逆接仮定を表す接続助詞トモとトをめぐって」『岡大国文論稿』47 要点 トモ・トの歴史について考える 現代語では生産的でないが、かつては主要形式であったこと モの有無と、トの使用が中世末期以降に増えること ドモ・ドからの類推説…

江原由美子(2002.11)トモによる逆接条件表現

江原由美子(2002.11)「トモによる逆接条件表現」『岡山大学大学院文化科学研究科紀要』14 要点 逆接仮定条件のトモが事実を述べる場合に用いられることがある(大わだ淀むとも) このいわゆる「修辞的仮定」が何なのかを考えるために、トモの現象面を明ら…

衣畑智秀(2004.12)古代語・現代語の「逆接」:古代語のトモ・ドモによる意味対立を中心に

衣畑智秀(2004.12)「古代語・現代語の「逆接」:古代語のトモ・ドモによる意味対立を中心に」『語文』83 要点 古代語で、トモは仮定条件、ドモは恒常条件と確定条件を表し、現代語で、テモは仮定条件・恒常条件、ケドは確定条件を表す。このことについて考…

衣畑智秀(2005.4)日本語の「逆接」の接続助詞について:情報の質と処理単位を軸に

衣畑智秀(2005.4)「日本語の「逆接」の接続助詞について:情報の質と処理単位を軸に」『日本語科学』17 要点 ノニ・ケド・テモを適切に記述するための枠組みを考えたい 従来説はノニの「予想」とケド・テモの「予想」の差異を説明し得ない 以下の概念を導…

衣畑智秀(2001.12)いわゆる「逆接」を表すノニについて:語用論的意味の語彙化

衣畑智秀(2001.12)「いわゆる「逆接」を表すノニについて:語用論的意味の語彙化」『待兼山論叢 文学篇』35 要点 ノニとケドの差異2点に対する説明は「逆接」のカテゴリーでは十分に行えない 違和感・意外感 後件が既実現:雪が降っている{けど/*のに}…

上野隆久(2005.6)江戸後期から明治期における「~からのコトだ」と「~からだ」:『春色英対暖語』と『三四郎』を資料として

上野隆久(2005.6)「江戸後期から明治期における「~からのコトだ」と「~からだ」:『春色英対暖語』と『三四郎』を資料として」『日本近代語研究4』ひつじ書房 要点 接続助詞カラには、後件で原因・理由を述べ、「からだ」で締めくくる用法があるが、江戸…

宮内佐夜香(2016.12)逆接確定条件表現形式の推移についての一考察:中世後期から近世にかけて

宮内佐夜香(2016.12)「逆接確定条件表現形式の推移についての一考察:中世後期から近世にかけて」青木博史・小柳智ー・高山善行(編)『日本語文法史研究3』ひつじ書房 要点 ドモ・ドからガ、ケレドモ・ケレドへの移行について考える ドモ→ケレドモの過程…

宮内佐夜香(2015.3)近世後期における逆接の接続助詞について:上方語・江戸語の対照

宮内佐夜香(2015.3)「近世後期における逆接の接続助詞について:上方語・江戸語の対照」『中京大学文学会論叢』1 要点 宮内(2007, 2013)を踏まえつつ、近世後期江戸語のドモ・ケレドモ・ガについて、特に、あまり考えられてこなかった上方の精査と、東西…

森山卓郎(2013.6)因果関係の複文と意志的制御

森山卓郎(2013.6)「因果関係の複文と意志的制御」『国文学研究』170 要点 因果が成り立っていても不自然な場合があることを手がかりに、因果関係と意志の関係について考える 1 *私は、砂糖を減らした{ので・から}クッキーをあっさりと仕上げた。 2 私は…

小田勝(1996.10)連体形接続法:源氏物語を資料として

小田勝(1996.10)「連体形接続法:源氏物語を資料として」『国学院雑誌』97(10) 要点 文中の連体形が接続句として解釈される例について考える 内裏にもさる御心まうけどもある[=のに]、[コノ月モ]つれなくてたちぬ。(例は全て源氏) 連体修飾語や準体…

青木博史(2017.11)「のなら」の成立:条件節における準体助詞

青木博史(2017.11)「「のなら」の成立:条件節における準体助詞」有田節子(編)『日本語条件文の諸相:地理的変異と歴史的変遷』くろしお出版 要点 ノナラについて、以下のことを考える 歴史的経緯 出張するなら/出張するのなら が意味的に同一であるこ…

原口裕(1971.3)「ノデ」の定着

原口裕(1971.3)「「ノデ」の定着」『静岡女子大学研究紀要』4 要点 幕末までのノデは用例が少なく、デと併存する 初例は軽口御前男(元禄16[1703])、「格助詞デが準体助詞ノに接続する」用法 江戸川柳には比較的例が多く、明和・安永頃にようやくまとま…

吉井量人(1977.9)近代東京語因果関係表現の通時的考察:「から」と「ので」を中心として

吉井量人(1977.9)「近代東京語因果関係表現の通時的考察:「から」と「ので」を中心として」『国語学』110 要点 江戸語・東京語のノデ・カラについて考える 全体的な調査、 カラが会話文に使われ始めるのは1700年頃からで、1760年頃から中心形式に 1800年…

矢島正浩(2020.3)近現代共通語における逆接確定節: 運用法の変化を促すもの

矢島正浩(2020.3)「近現代共通語における逆接確定節: 運用法の変化を促すもの」『国語国文学報』78 要点 ガが書き言葉に多用され、ケレドは話し言葉で伸長という歴史記述ではなく、「ガ・ケレドには、他の接続辞にはない固有の共存原理が働いている」とい…

李淑姫(2005.5)中世日本語の因由形式ニヨッテの階層

李淑姫(2005.5)「中世日本語の因由形式ニヨッテの階層」『日本學報』63 要点 李(1998)では虎明本の因由形式の階層を以下のように記述したが、ニヨッテとトコロデはその前後で異なる特徴を見せる ホドニ・トコロデ・アイダはC類、已バ・ニヨリテ・ニヨッ…

中野伸彦(2001.12)江戸語の「~ばいい」

中野伸彦(2001.12)「江戸語の「~ばいい」」『山口大学教育学部研究論叢 1 人文科学・社会科学』51 要点 バイイを以下の2つに分けて考える ~ばそれですむ a ~という手立て・事態の成立によって可能である:犯人は内側から鍵をかければよかった b ~とい…

李淑姫(2004.3)中世日本語の原因・理由を表す接続形式の階層構造:抄物資料を中心に

李淑姫(2004.3)「中世日本語の原因・理由を表す接続形式の階層構造:抄物資料を中心に」『日本學報』58 要点 小林千草(1973)の中世末のホドニとニヨッテの指摘は、現代語のカラ・ノデと並行する ウ・ヨウ・マイが上接可能かどうか/後件に推量・意志・命…

川島拓馬(2019.4)逆接形式「くせに」の成立と展開

川島拓馬(2019.4)「逆接形式「くせに」の成立と展開」『国語国文』88(4) 要点 クセニの成立・変遷過程と、特にクセニが非難・不満を表すことについて考えたい 名詞クセは中古からあり、クセ+ニは抄物に例がある このクセニは「順接的」ではあるが、接続の…