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言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

森脇茂秀(2015.3)比況表現の一形式

森脇茂秀(2015.3)「比況表現の一形式」『山口国文』38

前提

  • 九州方言のゴト・ゴタルが希望表現に出現する要因を考えるために、
  • ヤウナリが希望表現を獲得する過程を考える

ヤウナリ・ヤウニの意味

  • 中古においてヤウナリが比況になる場合、以下の傾向がある
    • Nの/たり/たらむ/動詞(連体形) + ヤウナリ
    • 地の文に偏る
  • ヤウニが祈願・目的を表す用法は中世に現れる
    • 覚一本平家でヤウニ~命令形とある箇所が、延慶本ではベシのみ
      • 「「べし」の衰退と「やうに」に「祈願・目的用法」が生じるという史的関係が関連している」*1
    • 覚一本には述部の省略された「ともかうもよきやうに」の例がある
  • などなど、後続節に意志・希望・命令・依頼が共起する場合が多く、
  • 文末用法は他者への希求・依頼に用いられる
  • こうした用法はヤウニのみで、ヤウナリ・ヤウナにはその用法はない*2

雑記

  • スペアミント:強すぎるし、お酒とかお茶とか、何かと使える。買うのがあほらしくなる。ほっとけば育つのでひと鉢あっていい。

*1:御計有ベクヤ候ラン/ともかうもよきやうに御ぱからひ候へ の差異なので、や~む/御~候へ の対立だと思う

*2:「これは「やう」の実質的な意味が形式化したためである」とあるが、よく分からない。連用形じゃないとその機能を持てないというだけではないか