山口堯二(2000.3)「『天草版平家物語』の「まじい」と「まい」:原文との対照から見た打消推量の助動詞統合の歩み」『京都語文』5
要点
- 原拠本平家と天草平家の対照と通して、打消推量の助動詞の流れを考える
- 対照を行うと、次の通り
- 原拠のマジの訳語としてマジイとマイが拮抗すること
- 天草平家のマジイは既に、原拠本のマジ・ジを統合する
- すなわち、マジとジの統合はマイの成立以前に始まったと言える
- マジの意義に打消推定(状態・結果・可能)、不適当(打消意志など)、不当(禁止など)を認める
- マジイ→マイには打消意志が多い
- マジ→マジイには禁止が多い
- ジの意義に打消推量、打消意志を認める
- ジ→マイには打消意志が多く、
- ジ→マジイには打消推量が多い
- すなわち、マジイはマジに、ジはマイによく対応する
- 用法上は、マイの終止法への方よりが顕著で、マジイには連体法もやや見られる
- 最終的なマジ・ジの統合には、現実的なジの機能の方が重要であるが、マイはジ的機能を備え、既にマジイと交替可能であったとも考えられる
雑記
- 3月!