ronbun yomu

言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

モダリティ

劉相溶(2000.9)形式名詞「ハズ」の意味転成:洒落本を中心に

劉相溶(2000.9)「形式名詞「ハズ」の意味転成:洒落本を中心に」『専修国文』67. 要点 ハズ関連形式を、元の名詞とのかかわりではなく、ハズ(ダ)内での意味変化内の問題として考察したい 対象資料は洒落本と、捷解新語、浮世床、遠鏡など 中世末期には…

小亀拓也(2021.3)連体修飾節中に生起しにくい述語形式について

小亀拓也(2021.3)「連体修飾節中に生起しにくい述語形式について」『間谷論集』15. 要点 連体修飾節の統語的制限についての三原(1995)の議論を定量的観点から再検討したい 「判断確定性が最高次である確言のムード表現は連体修飾節中に生起可能であり、…

山本佐和子(2020.3)中世室町期における「ゲナ」の意味・用法:モダリティ形式「ゲナ」の成立再考

山本佐和子(2020.3)「中世室町期における「ゲナ」の意味・用法:モダリティ形式「ゲナ」の成立再考」『同志社国文学』92. 要点 ゲナが「本体把握」「内実推定・原因推定」を主張し、ゲナリとの関係性からその意味が生まれる理由を考えたい cf. 大鹿1993, …

佐藤順彦(2011.3)後期上方語におけるノデアロウの発達

佐藤順彦(2011.3)「後期上方語におけるノデアロウの発達」『日本語文法』11(1). 要点 江戸語のノダロウについては明らかな点が多いが、上方語についてはそうではない 上方語における事情推量を表す形式の調査結果 前期→後期にかけて、モノジャ>ノジャの…

佐藤順彦(2009.3)前期上方語のノデアロウ・モノデアロウ・デアロウ

佐藤順彦(2009.3)「前期上方語のノデアロウ・モノデアロウ・デアロウ」『日本語文法』9(1). 要点 前期上方語で未発達であったノデアロウの機能を、モノデアロウ・デアロウが担っていたことを主張する 現代語のノダロウの機能は事情推量であり、 前期上方…

仁科明(1998.12)見えないことの顕現と承認:「らし」の叙法的性格

仁科明(1998.12)「見えないことの顕現と承認:「らし」の叙法的性格」『国語学』195. 要点 ラシの性格と、妥当な理解について考える まず、ラシを「根拠ある推量、確かな推量」という従来的理解、ひいては「推量」とする理解そのものに限界がある (この…

高山善行(2021.6)連体「なり」の機能をどう捉えるか:「のだ」との比較を通して

高山善行(2021.6)「連体「なり」の機能をどう捉えるか:「のだ」との比較を通して」野田尚史・小田勝(編)『日本語の歴史的対照文法』和泉書院. 要点 ノダとの比較に基づき、連体ナリの記述分析を行い、以下の3点を主張する*1 連体ナリの性質はノダとの…

山田潔(2021.5)抄物における助動詞「べし」の変容:『毛詩聴塵』『両足院本毛詩抄』の本文比較

山田潔(2021.5)「抄物における助動詞「べし」の変容:『毛詩聴塵』『両足院本毛詩抄』の本文比較」『国語国文』90(5) 要点 川村(1995, 1996)の分類にしたがって、毛詩聴塵のベシの両足院本での使用状況を分類する A 観念上の事態成立主張用法 A1 現実世…

幸松英恵(2015.2)〈事情推量〉を表さないノダロウ:準体助詞ノを含む推量形式に見られる2種

幸松英恵(2015.2)「〈事情推量〉を表さないノダロウ:準体助詞ノを含む推量形式に見られる2種」『学習院大学国際研究教育機構研究年報』1 要点 ノダロウはこれまで〈事情推量〉を中心として論じられてきたが、そうでない、ダロウと可換ノダロウがある (彼…

市岡香代(2005.3)栃木県岩舟町方言における意志・推量表現形式「べ」の用法

市岡香代(2005.3)「栃木県岩舟町方言における意志・推量表現形式「べ」の用法」『日本語研究(都立大)』25 要点 ベ一形式で意志・推量を表す地域と意志にベ・推量にダンベを分担する地域があり、標題地域はその境界にあたる 形態的特徴、 名詞・形容動詞…

宮崎和人(2019.4)モダリティーの主観化について:〈必要〉を表す文の場合

宮崎和人(2019.4)「モダリティーの主観化について:〈必要〉を表す文の場合」澤田治美ほか編『場面と主体性・主観性』ひつじ書房 要点 否定条件形+イケナイ・ナラナイの複合的な形式と、その「省略形」について、その差異を明らかにしつつ、主観化の観点…

三宅清(2005.3)推定の助動詞「めり」と「なり」の意味用法:証拠の在り様をめぐって

三宅清(2005.3)「推定の助動詞「めり」と「なり」の意味用法:証拠の在り様をめぐって」『国語学研究』68 要点 メリは視覚、ナリは聴覚に基づく推定とされるところ、Evidential の観点から改めて、視覚・聴覚という分析を超えて考えたい 先行論、メリ・ナ…

高木千恵(2005.3)大阪方言の述語否定形式と否定疑問文:「〜コトナイ」を中心に

高木千恵(2005.3)「大阪方言の述語否定形式と否定疑問文:「〜コトナイ」を中心に」『阪大社会言語学研究ノート』7 要点 大阪方言における分析的な否定形式コトナイと、否定疑問形式コトナイカについて考える 述語の否定形式は以下の通りで、 p.74 これら…

宮崎和人(2020.10)可能表現の研究をめぐって

宮崎和人(2020.10)「可能表現の研究をめぐって」『国語と国文学』97(10) 要点 可能は(ヴォイスではなく)モダリティの範疇で記述すべきであることを主張し、特に以下の3点について考える 1点目、可能と実現について 可能はポテンシャル(彼はその曲を最後…

木下書子(1993.12)「けん」から「つらう」へ:「る」「らる」を承ける場合を中心に

木下書子(1993.12)「「けん」から「つらう」へ:「る」「らる」を承ける場合を中心に」『国語国文学研究』29 要点 ケンからツラウへの交替について、特に上接語の制限を中心に考えたい 当初のツランはケンの領域を侵さないのだが、 これはツの上接語の制限…

山田潔(2020.5)『玉塵抄』における「らう・つらう・うずらう」の用法

山田潔(2020.5)「『玉塵抄』における「らう・つらう・うずらう」の用法」『国学院雑誌』121(5) 要点 標題形式について、以下の3点を考える ツラウが多くコソの結びとして用いられること ラウの上接語がアルに偏ること ウズラウがコソ・ゾと呼応せずにカと…

山田潔(2001.9)助動詞「らう」とその複合辞(4)助動詞「らう」「うずらう」の用法

山田潔(2001.9)「助動詞「らう」「うずらう」の用法」『玉塵抄の語法』清文堂出版、初出2001 要点 ツラウに引き続き、ラウ・ウズラウの意味用法について考える ラウについて、 ゾ・コソの結びが大半を占め、村上1979の言う通り、推量の強調をラウが担うと…

山田潔(2001.9)助動詞「らう」とその複合辞(3)複合助動詞「つらう」の用法

山田潔(2001.9)「複合助動詞「つらう」の用法」『玉塵抄の語法』清文堂出版、初出1995 要点 室町のツラウについて考える 斯道本平家のケンは天草版ではツラウに交替する ケンの用法を以下の3種に分類すると、ケン→ツラウの例はA, Bしか見られない(木下書…

山田潔(2001.9)助動詞「らう」とその複合辞(2)複合助動詞「つらむ」の用法に関する一考察

山田潔(2001.9)「複合助動詞「つらむ」の用法に関する一考察」『玉塵抄の語法』清文堂出版、初出1993 要点 平家のツラムについて、キ・ツの問題を踏まえながら考える キ・ツは意味的に近似し、キは現在との交渉を持たない過去を、ツは何らかの意味で交渉を…

村上昭子(1979.2)助動詞ラウ:中世末期の用法

村上昭子(1979.2)「助動詞ラウ:中世末期の用法」『中田祝夫博士功績記念国語学論集』勉誠社 要点 中世末のラウに終止法が多く、しかも係助詞の結びが多いことについて、以下の2点から考えたい ラウと係助詞との関係 ラウとウとの意味上の関係 1点目、 ラ…

小松光三(1992.11)体言に連なる助動詞「む」の表現:『枕草子』の場合

小松光三(1992.11)「体言に連なる助動詞「む」の表現:『枕草子』の場合」『国語と国文学』69(11) 要点 連体ムの「仮定・婉曲」の説明に問題があるので、統一的説明を目指して、(中古和文の代表としての)枕草子の連体ムについて考える 以下の5つの傾向が…

岡部嘉幸(2003.4)ハズダとニチガイナイについて:両者の置き換えの可否を中心に

岡部嘉幸(2003.4)「ハズダとニチガイナイについて:両者の置き換えの可否を中心に」『日本語科学』13 要点 ハズダ・ニチガイナイの置き換えの可否を「判断の根拠の確かさ」に求める(ハズダは確か、ニチガイナイは不確か)ことがある(三宅1993)が、問題…

舩木礼子(1999)意志・推量形式「べー」の対照:用法変化の推論

舩木礼子(1999)「意志・推量形式「べー」の対照:用法変化の推論」『待兼山論叢 日本学篇』33 要点 ①福島県喜多方、②宮城県鳴瀬、③秋田県大館、④秋田県五城目、⑤静岡県沼津、⑥兵庫県稲美の6地点のベーを対照する 接続において、 ①②③④はほぼ一段・カ変・サ…

小木曽智信(2020.3)通時コーパスに見るモダリティ形式の変遷

小木曽智信(2020.3)「通時コーパスに見るモダリティ形式の変遷」田窪行則・野田尚史(編)『データに基づく日本語のモダリティ研究』くろしお出版 要点 CHJを用いて、モダリティ形式の大きな変化を見る 古代語はム・ムズ・ジ、ケム・ベシ・マジ・ラシ・メ…

福田嘉一郎(2000.3)天草本平家物語の助動詞ラウ

福田嘉一郎(2000.3)「天草本平家物語の助動詞ラウ」『国文研究(熊本女子大学)』45 要点 原拠本との天草版との比較により、室町のラウの意味や機能について考える 天草版のラウは原拠本では、 ラウの場合:ラムの他、ムズラム、ツラム、ケムで、前接語は…

三宅知宏(1995.12)「推量」について

三宅知宏(1995.12)「「推量」について」『国語学』183 要点 推量という概念をめぐって、以下の3点について考える 過度に一般化された曖昧な「推量」の概念の明確化 「推量」概念を用いて説明される形式の限定 「推量」概念の「認識的モダリティ」体系内で…

木部暢子(2019.3)諸方言コーパスに見るモダリティ形式のバリエーション:推量表現の地域差

木部暢子(2019.3)「諸方言コーパスに見るモダリティ形式のバリエーション:推量表現の地域差」田窪行則・野田尚史(編)『データに基づく日本語のモダリティ研究』くろしお出版 要点 COJADSモニター版を使って諸方言の推量表現を整理する 述語のタイプ(名…

鶴橋俊宏(2013.1)人情本の推量表現(2)為永春水の人情本におけるダロウ・ノダロウ ほか

鶴橋俊宏(2013.1)「為永春水の人情本におけるダロウ・ノダロウ」『近世語推量表現の研究』清文堂出版 初出1998『日本文化研究』10 要点 春水人情本に下って考える 形態的に、 形容詞・マス・ナイなどにダロウが拡張するが、依然としてタダロウはない 一方…

鶴橋俊宏(2013.1)人情本の推量表現(1)文政期人情本における推量表現

鶴橋俊宏(2013.1)人情本の推量表現(1)「文政期人情本における推量表現」『近世語推量表現の研究』清文堂出版 初出2013『言語文化研究』11 要点 推量表現史を見つつ初期人情本の資料性についても考える 特にダロウ・ノダロウについてここまで分かったこと…

岡部嘉幸(2014.10)近世江戸語のハズダに関する一考察:現代語との対照から

岡部嘉幸(2014.10)「近世江戸語のハズダに関する一考察:現代語との対照から」青木博史・小柳智一・高山善行(編)『日本語文法史研究2』ひつじ書房 要点 ハズダの成立や機能変化については明らかになっている点が多いが、共時的にどうであったか、現代語…