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言語学(主に日本語文法史)の論文を読みます

モダリティ

鶴橋俊宏(2013.1)人情本の推量表現(2)為永春水の人情本におけるダロウ・ノダロウ ほか

鶴橋俊宏(2013.1)「為永春水の人情本におけるダロウ・ノダロウ」『近世語推量表現の研究』清文堂出版 初出1998『日本文化研究』10 要点 春水人情本に下って考える 形態的に、 形容詞・マス・ナイなどにダロウが拡張するが、依然としてタダロウはない 一方…

鶴橋俊宏(2013.1)人情本の推量表現(1)文政期人情本における推量表現

鶴橋俊宏(2013.1)人情本の推量表現(1)「文政期人情本における推量表現」『近世語推量表現の研究』清文堂出版 初出2013『言語文化研究』11 要点 推量表現史を見つつ初期人情本の資料性についても考える 特にダロウ・ノダロウについてここまで分かったこと…

岡部嘉幸(2014.10)近世江戸語のハズダに関する一考察:現代語との対照から

岡部嘉幸(2014.10)「近世江戸語のハズダに関する一考察:現代語との対照から」青木博史・小柳智一・高山善行(編)『日本語文法史研究2』ひつじ書房 要点 ハズダの成立や機能変化については明らかになっている点が多いが、共時的にどうであったか、現代語…

鶴橋俊宏(2013.1)咄本の推量表現

鶴橋俊宏(2013.1)「咄本の推量表現」『近世語推量表現の研究』清文堂出版 初出1993『静岡県立大学短期大学部研究紀要』6 要点 遊里を中心とする洒落本の特殊性を補うために咄本の調査を行う 以下の傾向は洒落本と同様 天明頃からダロウ>ウになること ダロ…

鶴橋俊宏(2013.1)洒落本の推量表現(3,4)洒落本におけるノダロウ/洒落本におけるデアロウ

鶴橋俊宏(2013.1)「洒落本におけるノダロウ」『近世語推量表現の研究』清文堂出版 初出1998『静岡県立大学短期大学部研究紀要』11(1) 鶴橋俊宏(2013.1)「洒落本におけるデアロウ」『近世語推量表現の研究』清文堂出版 初出2011『言語文化研究』10 要点 …

鶴橋俊宏(2013.1)洒落本の推量表現(1,2)明和期~寛政期のウ・ヨウとダロウ/享和期以降のウ・ヨウとダロウ

鶴橋俊宏(2013.1)「明和期~寛政期のウ・ヨウとダロウ」『近世語推量表現の研究』清文堂出版 初出1990『野州国文学』46 鶴橋俊宏(2013.1)「享和期以降のウ・ヨウとダロウ」『近世語推量表現の研究』清文堂出版 初出1992『静岡県立大学短期大学部研究紀要…

鶴橋俊宏(2013.1)宝暦期歌舞伎台帳にみられる推量表現

鶴橋俊宏(2013.1)「宝暦期歌舞伎台帳にみられる推量表現」『近世語推量表現の研究』清文堂出版 初出2003『言語文化研究』2 要点 明和以降の推量表現を調査する 男伊達初買曽我(1753)、諸鞚奥州黒(1752))を資料とする 調査、 非活用語はデアロウなどの…

鶴橋俊宏(2013.1)江戸語の推量表現(1)先行研究・研究資料

鶴橋俊宏(2013.1)「先行研究・研究資料」『近世語推量表現の研究』清文堂出版 要点 江戸語の推量表現についてこれまで分かっていること 意志・推量が分化すること 江戸後期の推量の型が次の通りであること(中村通夫) アル・ナル以外の動詞→ダロウ/アル…

山田潔(2019.9)『両足院本毛詩抄』における「う」「うず」の用法

山田潔(2019.9)「『両足院本毛詩抄』における「う」「うず」の用法」『近代語研究』21 要点 概ねウはムの用法を継承し、ウズはベシを継承するが、毛詩聴塵と毛詩抄(両足院本)の対応関係は必ずしも「ム:ベシ=ウ:ウズ」ではない 報スベキニ - 報セウ物…

山田潔(2001)助動詞「うず」の表現性(5)玉塵抄の助動詞「うず」

山田潔(2001)「助動詞「うず」の表現性」『玉塵抄の語法』清文堂出版 初出1998「玉塵抄の助動詞「ウズ」」『学苑』694 要点 ウズについてこれまで分かったこと6点 1 ウは疑問詞と呼応し、単純な推量を表すのに対し、ウズは確かな推量および近接した未来を…

山田潔(2001)助動詞「うず」の表現性(4)助動詞「うず」の表現性

山田潔(2001)「助動詞「うず」の表現性」『玉塵抄の語法』清文堂出版 初出1991「助動詞「ウズ」の表現性」『国語国文』60(6) 要点 百二十句本から天草版への以下のような口訳の例を問題意識として、ウズについて考える 奉公ノ忠ヲイタサントスレバ → 奉公…

山田潔(2001)助動詞「うず」の表現性(2)史記抄における助動詞「う」「うず」

山田潔(2001)「助動詞「うず」の表現性」『玉塵抄の語法』清文堂出版 初出1975「史記抄における助動詞「ウ」「ウズ」の考察」『国学院雑誌』76(7) 要点 キリシタンの結果に基づきつつ、抄物におけるウ・ウズについて考える 以下の点はキリシタンと同様 1 …

山田潔(2001)助動詞「うず」の表現性(1)推量の助動詞「う」「うず」「うずる」の一考察:キリシタン資料における実態

山田潔(2001)「助動詞「うず」の表現性」『玉塵抄の語法』清文堂出版 初出1971「推量の助動詞「う」「うず」「うずる」の一考察:キリシタン資料における実態」『学芸国語国文学』7 要点 キリシタン資料におけるウ・ウズについての観察4点 1 ウは疑問詞と…

土岐留美江(2002.3)「だろう」の確認要求の用法について:江戸時代後期と現代語における様相の比較

土岐留美江(2002.3)「「だろう」の確認要求の用法について:江戸時代後期と現代語における様相の比較」『日本近代語研究3』ひつじ書房(土岐2010による) 要点 ダロウの確認要求の発生を、推量表現の史的変遷に位置づけて考える((((この論文が参考文献では…

土岐留美江(2012.6)意志表現とモダリティ

土岐留美江(2012.6)「意志表現とモダリティ」沢田治美編『ひつじ意味論講座第4巻 モダリティII:事例研究』ひつじ書房 要点 モダリティの事例研究として意思表現について考えたい モダリティ体系の中での意志の位置付けは、そもそもモダリティに組み込むか…

木部暢子(2020.3)九州方言のゴトアルについて:COJADSのデータより

木部暢子(2020.3)「九州方言のゴトアルについて:COJADSのデータより」『坂口至教授退職記念日本語論集』創想社 要点 九州のゴトアルが様態と希望を表すことに対する2つの従来説 形態的特徴と意味の結びつきが排他的に決まる(ウゴトアル→希望/連体形+ゴ…

菅原範夫(1992.3)「うず」の消滅過程

菅原範夫(1992.3)「「うず」の消滅過程」『小林芳規博士退官記念国語学論集』汲古書院 標題の問題について、中世後期から近世前期のウズの消滅過程について考える 天草平家と原拠本の比較に基づくと、 終止法では「「べし」の表現していた意味上の空隙を「…

高山善行(1992.4)中古語モダリティの階層構造:助動詞の意味組織をめざして

高山善行(1992.4)「中古語モダリティの階層構造:助動詞の意味組織をめざして」『語文』58 要点 以下の3つのテストから、モダリティ(+テ・ア)の助動詞と文構造の関係を考える 助動詞の下接 従属中の生起 係助詞との関係 結果は以下の通り ツ・ヌ・ベシ…

小出祥子(2020.3)奈良時代語におけるラムカ構文とケムカモ構文

小出祥子(2020.3)「奈良時代語におけるラムカ構文とケムカモ構文」『名古屋短期大学研究紀要』58 要点 ム系助辞と終助詞カ・カモの接続関係について考える ラム・ケムの出現環境をまとめると次の通りで、 p.5 ラムカはあるのにケムカは少なく、ケムカモは…

大鹿薫久(1997.2)助動詞「らし」について

大鹿薫久(1997.2)「助動詞「らし」について」『語文』67 ラシの以下の特徴について考える 1 疑問文で用いられない 2 ラシの根拠の事態を明示することが多い 3 仮定条件句の帰結にならない これをもとに、時代別は「確信的に推量する」とするが、確信的なら…

大鹿薫久(2004.6)モダリティを文法史的に見る

大鹿薫久(2004.6)「モダリティを文法史的に見る」尾上圭介(編)『朝倉日本語講座6文法Ⅱ』朝倉書店 要点 モダリティを「判断のありように対応する意味上の概念」と規定して、叙実(疑問できる)・叙想(疑問できない)の別を設けると、現代語のモダリティ…

森野宗明(1960.3)ベラナリということば:位相上の問題を主として

森野宗明(1960.3)「ベラナリということば:位相上の問題を主として」『国語学』40 要点 ベラナリには、散文韻文両用説、韻文の男性語説などがあるが、以下の説を主張したい 1 平安初期としては訓点語としても用いられたが、口頭語とは(男性語の中であって…

竹部歩美(2019.7)『源氏物語』諸写本に見られる助動詞ムズ

竹部歩美(2019.7)「『源氏物語』諸写本に見られる助動詞ムズ」『言語の研究』5 要点 源氏大成本文にムズは3例あるが、諸写本を見るともっとある。このことについて、特に以下のことに注目して考える 大成以外の調査 ムズは会話文と心内文に現れるとされる…

澤田淳・澤田治(2020.3)「NPのことだ(から)」の因果的推論の方向性

澤田淳・澤田治(2020.3)「「NPのことだ(から)」の因果的推論の方向性」『日本語文法』20(1) 要点 「NPのことだ(から)」は後続命題を推論する用法を持つ 太郎のこと{だ。/だから、}この時期忙しいだろう。 絵が上手な太郎{だ/??のことだから}これ…

岡部嘉幸(2004.11)近世江戸語におけるラシイについて

岡部嘉幸(2004.11)「近世江戸語におけるラシイについて」『近代語研究』12 要点 江戸語のラシイについて、以下の点を考える ラシイの「推定」の内実 助動詞ラシイと接尾辞ラシイの関係 米八は元気らしく(≒そうに)二階へ来る(梅暦)のような接尾辞ラシイ…

岡部嘉幸(2002.10)江戸語におけるソウダとヨウダ:推定表現の場合を中心に

岡部嘉幸(2002.10)「江戸語におけるソウダとヨウダ:推定表現の場合を中心に」『国語と国文学』79(10) 要点 江戸語の終止ソウダとヨウダの使い分けについて考える 終止ソウダの用法とヨウダの用法比較 Ⅰは洒落本・滑稽本・人情本(梅暦・辰巳園)、Ⅱは幕末…

岡部嘉幸(2000.9)江戸語における終止形承接のソウダについて

岡部嘉幸(2000.9)「江戸語における終止形承接のソウダについて」『国語と国文学』77(9) 要点 標記の問題について、以下3点を考える 終止ソウダの「推量」「推定」の具体的内容は何か 終止ソウダの推量・推定と電文の関係性 連用ソウダの意味と、終止ソウダ…

上野左絵(2012.3)『古今和歌集鄙言』里言における「ゲナ」と「サウナ」

上野左絵(2012.3)「『古今和歌集鄙言』里言における「ゲナ」と「サウナ」」『十文字国文』18 要点 「つねのことは」「時俗のくちふり」をうつすという方針の『鄙言』(1796刊)が、あゆひ抄や遠鏡よりも自然な口語を得示すのではないか、という予測のもと…

高山善行(2016.11)準体句とモダリティの関係をめぐって:中古語の実態

高山善行(2016.11)「準体句とモダリティの関係をめぐって:中古語の実態」福田嘉一郎・建石始(編)『名詞類の文法』くろしお出版 要点 以下の観点から、中古における標記の問題について記述する 準体句内のモの生起 モの後接要素 準体句内のモと述部のモ…

山口堯二(2000.3)『天草版平家物語』の「まじい」と「まい」:原文との対照から見た打消推量の助動詞統合の歩み

山口堯二(2000.3)「『天草版平家物語』の「まじい」と「まい」:原文との対照から見た打消推量の助動詞統合の歩み」『京都語文』5 要点 原拠本平家と天草平家の対照と通して、打消推量の助動詞の流れを考える 対照を行うと、次の通り 原拠のマジの訳語とし…